本日の映画は『殺しのドレス』
ブライアン・デ・パルマの作品であるということ以外はあらすじも何も知らずに鑑賞しました。
『殺しのドレス』
監督・出演・製作 基本情報
監督:ブライアン・デ・パルマ
出演:マイケル・ケイン/アンジー・ディキンソン/ナンシー・アレン
製作:1980年/アメリカ
ざっとあらすじなど。
ケイトは夫との性生活に不満を感じ、精神科医エリオットのカウンセリングを受けている。カウンセリングの後、美術館に行き、そこで知り合った男と行きずりの情事を楽しんだケイトは、その帰りに何者かに殺されてしまう。ケイト殺害事件の目撃者で娼婦のリズとケイトの息子ピーターは協力して犯人を追う。
というサイコ・スリラー。
デ・パルマと言えば、『キャリー』、『カリートの道』等々名作と名高い作品を生み出してきた監督で、その独特な映像美には熱狂的なファンも多く、タランティーノが初めて夢中になった監督がブライアン・デ・パルマなのだとか。
『ミッション・インポッシブル』の第一作を監督したことでも知られています。最近はあんまりヒット作に恵まれませんが。
この作品も1980年と古い作品なので、今観ると古さも感じますし、「??」なところもあります。
しかし、悪趣味に感じてしまうほどのねっとりとしたエロスと暴力。
凝ったカットやカメラ目線、スローモーション等、様々な演出を凝らされていて、気づけば画面に見入ってしまっていました。またいつか観返したいなぁ。
以下はネタバレしております。
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感想(ネタバレあり)
熟女のエロスが漂います。
ヒッチコックの『サイコ』に影響を受けているらしく、両作品の間には類似点もちらほら。冒頭のケイトのシャワーシーンはまさに『サイコ』<を思い出しました。
シャワーを浴びるケイトの体を、舐めまわすようなカメラ目線。シャワーの外には男がいる。
情事の後か、情事の前かはわかりませんが、男を見つめるケイトの表情がまたエロスたっぷり。もちろん全裸なのでポロリもあります。モザイクがかかってますが、下も出してます。
熟女のねっとりしたシャワーシーンΣ( ̄ロ ̄|||)
うぉぉぉぉ、苦手!!(; ̄Д ̄)
と、思ったところに、ショッキングなシーンがかぶせられます。
びっくりさせられたところで、次のシーンではまた熟女のエロスが炸裂…。
私はそんな熟女のエロスが苦手で生理的に受けつけず、「これ、あんまり好きじゃないかも。」って思ってしまいました…。さらにケイトのエロスがメラメラと燃えさかります…。
ケイトは夫との性生活に不満を感じていて、カウンセリングに通っているのですが、なんとカウンセリングの場で精神科医を誘惑。
この精神科医エリオットを演じるのはイギリスの名優マイケル・ケイン。
で、エリオットに見事に撃沈されたケイトは、今度は美術館で男漁り(; ̄Д ̄)
この時の自意識過剰気味なケイトの振る舞いが、やはり好きにどうにもなれず…。(観るの止めようかな、と思いましたが、頑張って観続けました!)
ただ、追う者と追われる者の視線がくるくると入れ替わる、ねちっこい長回しは印象的でした。ほぼセリフのないシーンですが、ケイトの欲望や思うようにいかない焦りなどが彼女の仕草や表情から読み取れます。
相手の男もいかにも怪しげな、にやけたサングラスの男。タクシーに強引に連れ込まれたかと思えば、いきなり、そのままノ( ̄0 ̄;)\オー!!ノー!!!!
見てますよ、タクシー運転手が!
まったく気にしない二人はタクシーの中でも楽しんだ後、男の自宅でも情事を楽しむ。(ケイトさん、どれだけ欲求不満なんですか…)
すっかり満足したケイトは男に置手紙を残して帰宅しようとするも、男はなんと「性病にかかっていた」ことが発覚。
なるほど、先ほどの美術館での不自然な出会いと言い、「ははぁ、この男は何か企んでるな!」…と思いましたが、何もありませんでした…。
男の病気の事実が発覚し、動揺したケイトはエレベーターの中で指輪を忘れてきたことに気付き(←ちなみにパンツはタクシーの中に忘れてきたので履いてません)、取りに戻ろうとして、エレベーターの外で待ち伏せていた女に襲われる。
剃刀ですぱぁ!と。
ケイトの真っ白な洋服が血に染まり、切り裂かれ、エレベーター内に血しぶきが飛び散る描写がなかなか…。血しぶき大好き(・∀・)
で、その現場にたまたま居合わせてしまうのが娼婦のリズ。
このシーンがすごいんですよ。
エレベーターの扉が開くと、血まみれのケイトが必死に助けを求め、手を伸ばそうとしている。
犯人の女はエレベーターの死角に身を隠し、剃刀を構えている。
ケイトに手を差し出そうとするリズ。
ちらちらと刃の反射が目に入り、はっとしてリズが顔を上げると目に飛び込んできたのはエレベーター内に設置された防犯用のミラー。
そこには剃刀を持ち、サングラスをかけた女がはっきりと映っていた。剃刀の刃先は自分の手のすぐ先にある…。
3人の女がひとつの画面に映る…。なんという完璧な構図!
前半の熟女のエロスに満ちたあれこれがちょっときつかったのですが、ここまで来て、ようやく作品に集中できました!
目撃者リズに犯人の魔の手が伸びる。
リズを演じるのはナンシー・アレン。『キャリー』でキャリーをいじめ倒していた、あの意地悪な同級生を演じていた女優さん。ブライアン・デ・パルマとは当時結婚していました。
リズは唯一の目撃者なのですが、ケイト殺害の容疑者にされてしまう。後半はリズが中心(エロス担当もバトンタッチ)に物語が展開していきます。
リズは目撃者として犯人から狙われる羽目になってしまうんです。
リズと真犯人との地下鉄での追いかけっこもよかったですね。女に後をつけられ、人がいるところなら安心と思って、チンピラのそばに寄ったら、そのチンピラにも追いかけられる羽目になり。
しかも地下鉄という密室。追ってくるチンピラたちから逃げて逃げて逃げて、その先に剃刀女が…。
あっ!!と思った瞬間に、居合わせたケイトの息子ピーターに助けられる。ピーターも独自に犯人捜しをしていて、アタリをつけた女を追っていたのです。
このピーターがメカ好きのちょっとオタクっぽい子で、なかなかいい味出しています。リズの振りまくエロスに困惑している様子も( ̄ー ̄)ニヤリッ
二人は協力して真犯人を追うのですが、このあぶなっかしいコンビが、いつ殺されてしまうかとひやひやしてしながら観てました。
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明らかになる真犯人の正体とは?
で、あれやこれやとありまして。エリオットの患者の中に真犯人がいると睨んだ二人は、その名前を探るべく、患者の名簿を見ようとエリオット宅へ。
名簿を見るために下着姿でエリオットを誘惑し始めるリズ。(を、窓の外から覗いてるピーター。)
その方法しか考えつかなかったのかね?
とは思いましたけどね(´・ω・`)
犯人に関しては、もうその人しかないよね、っていう人です。
早い段階で、犯人は性同一性障害の人物。心は女だけど、体は男だということが明かされますし、リズに付きまとっているのもどう見ても女装した男ですし。何やら怪しい行動をしてるし、演じてるのは有名俳優だし。
絶対にあいつが怪しい!何かある!
と思った人は多かったはず(笑)そう、大方の予想通り、真犯人はエリオット。
性同一障害で、かつ二重人格。男の人格がエリオットで、女の人格がロビー。エリオットが男性として興奮した時に、ロビーが目覚めるのです。(だからケイトやリズに誘惑されて、ボビーが出てきた。)
早い段階で犯人はわかってしまう。ただ、今は、いろんなサイコ・スリラーが山のように作られている時代なので、あ、あのパターンかってすぐに気が付いてしまうけど、当時はかなり衝撃的だったんじゃないかなぁ。と、思います。
犯人が分かっていてもなお、真犯人にリズが襲われるシーンはショッキングでしたよ。外は嵐で雷鳴が轟き、暗い部屋の中に潜んだ女が稲光で浮かび上がる。うわ!って思いましたよ~。
マイケル・ケインの何を考えてるのかわからない不気味な存在感もよかったなぁ。女装姿も初めて観ましたよ~。
これで終わりかなって思ったら、まだありましてね。
逮捕され、精神病院にいるエリオットが看護婦に襲い掛かるシーン。その時のエリオットの表情、そして看護婦から服をはぎ取る俯瞰の映像は、ぞーっとさせるものがありました。
シャワーを浴びているリズが、気配を感じて不安げに振り返ると、闇の中にナースシューズ。姿が見えないけれども、そこには脱走してきた看護婦姿のエリオットがきっといる。(マイケル・ケインのナース姿…。)
シャワー中という無防備な場所で、危機に遭遇したリズは、なんとか逃れようとするも叶わず、剃刀で喉元を掻き切られてしまう。
あぁ、、、と思ったら。
これはリズの夢でした。うーん、最後はなんと夢オチ。
夢オチは、いらなかった気がするなぁ。ちょっとげんなりしちゃった。あのまま、本当に殺されちゃうか、殺されそうになるところで終わるくらいがよかった気がします。
女装映画についてのまとめはこちら。
>>>女装が似合う!男性が女装をする映画、女性を演じた映画など女装映画まとめ
その他、気になったところなど。
少々、わざとらしさや古さは感じますが、得体の知れない犯人の影がちらつき、気が付いたら近くに忍び寄っている、というハラハラドキドキのシーンがいくつも散りばめられており、前述したエレベーターのシーンなど、鮮烈に印象に残ったシーンも多数ありました。
ドアノブや照明の煌めきの美しさなど、細部にこだわって作られた映画なんですね。
『サイコ』の影響。
冒頭のシャワーシーンもそうですが、ヒロインがあっさりと惨殺されてしまうところ。
それに犯人が女装した男性であるというところも、『サイコ』を感じさせますね。
『サイコ』は怖い映画が大好きの私が、心底怖いと思った作品で、ラストのアンソニー・パーキンスの表情がしばらくの間、脳裏にこびりついて離れなかったほどでした。
マイケル・ケインの不気味な存在感
優しいおじいちゃんのイメージだったけど、こういうサイコキラーの役も演じたことがあったんだなって、ちょっと意外でした。一見、患者思いの医師でありながら、何を考えているのかわからない無表情が不気味な存在感を発揮していました。
自身の患者であるボビーからの殺人告白の留守電。ボビーと連絡を取ろうとするも、捕まらない。これが観客を惑わせるシーンになっているのですが、真犯人がわかればそりゃ連絡はつきませんよね、ボビーは自分なんだもの…。
以上、『殺しのドレス』の感想でした。
おまけ:ケイトの情事のお相手…。
そうそう、あのサングラスの男。
かなり怪しげに思えたけど、あのまま一切登場しなかったな^^;
それはいいとしても、「性病」って本筋に何の関係もなかったのね。あの小ネタはなんだったんだろ。
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