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『マダム・フローレンス!夢見るふたり』/実在した絶世のオンチな歌手と妻の夢を支える夫。(ネタバレあり)

このブログでも何度も何度もしつこいほどに書いていますが、ヒュー・グラントが大好きなんです(* ̄∇ ̄*)エヘヘ

なのでこの『マダム・フローレンス!』とーっても楽しみにしていて、本日、公開初日に観てきました。

本日12月1日は映画の日。1,000円で映画が観られるありがたい日です。

この作品はフローレンス・フォスター・ジェンキンスという実在の歌手と夫シンクレアの物語で、1944年にカーネギーホールで行った伝説のコンサートを題材にしています。

フローレンスについて、今回初めて知ったのですが、ものすごい音痴だったとのこと…。しかも本人は「音痴である」ということに気付いてなかったのだとか…!!

▼現在でもCDが販売されています。

カーネギーホールと言えば、世界的にも有名な音楽の殿堂…。こんなに立派!

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実力と人気を兼ね備えてないとコンサートなんてできないんじゃないの?音痴でいいの…?「?」がいっぱいに浮かんで来ちゃいますね。

果たしてマダム・フローレンスはいかにしてカーネギーホールを満員にするほどのコンサートを開催し、今もなお、伝説として語り継がれているのか…。興味津々です。

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『マダム・フローレンス!夢見るふたり』

基本情報

監督:スティーブン・フリアーズ
出演:メリル・ストリープ/ヒュー・グラント/レベッカ・ファーガソン
製作:2016年/イギリス

マダム・フローレンスを演じるのはメリル・ストリープ。『プラダを着た悪魔』で、悪魔のような編集長を演じました。

メリル・ストリープは本作『マダム・フローレンス!』を含めて20度のアカデミー賞ノミネート経験を持ち、そのうち3回受賞(『クレイマー、クレイマー』『ソフィーの選択』『マーガレット・サッチャー 鉄の女』)というすごい経歴の大女優です。

特に『クレイマー・クレイマー』は大好きな作品で、繰り返し観ています。観るたびにフレンチ・トーストが食べたくなるんですよねぇ.。゚+.(・∀・)゚+.゚

で、その夫シンクレアを演じるのがヒュー・グラント(*´Д`*)

『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズでブリジットをマークと取り合う、セクシーな上司のダニエル・クリーヴァーを演じました。

愛すべきダメ男を演じさせたら右に出る者がいないロマコメの帝王ですが、最近はロマコメ以外の出演作が増えて、また違う顔を見せてくれています。

ヒューとメリルが夫婦役とは少々意外な気もしたのですが、なかなかいい夫婦ぶりでしたよ。

ざっとあらすじと感想(ほぼネタバレなし)。

ニューヨーク社交界の顔として華麗なる毎日を送るマダム・フローレンス

音楽を心から愛し、音楽の支援活動も熱心に行っているフローレンスは、ソプラノ歌手を夢見て、日々レッスンに励んでいた。が、フローレンスには致命的に歌唱力が欠如しており、すさまじい音痴。しかも本人はそれに全く気が付いていないΣヾ( ̄0 ̄;ノ

「コンサートを開きたい。」と願う妻のために、奔走する夫シンクレア

フローレンスを傷つけないために、事前に批評家を買収し、「理解者ある」観客たちを集めて、小規模なリサイタルを開催していた。

しかし、ある日、シンクレアが留守の間に暴走してしまったフローレンスは、何と勝手に「音楽の殿堂」であるカーネギーホールを予約してしまったΣ( ̄ロ ̄|||)

カーネギーホールといえば、3000人もの観客が入る大きなホール。なんとか思いとどまらせようとするシンクレアだったが、フローレンスの強く真摯な想いを聞かされ、一緒にこれを成功させることを決意する。

フローレンスを守り、コンサートを無事に開催するために、シンクレアは必死の奔走を見せるのだが…。というお話ですが、

素敵な映画でしたよ!!

ヒュー・グラントがね~、相変わらず女性に振り回されまくる役どころ(*´∇`*)

↓主人公フローレンスの内縁の夫シンクレア・ベイフィールド。

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引用:http://eiga.com/movie/84618/

英国貴族の血を引きながら庶子のため相続権はなく、アメリカで俳優をしていたという(うさんくさい)経歴の持ち主。フローレンスより7歳年下。

年齢を重ねた分落ち着いて来たものの、若い頃はプレイボーイだったに違いない。そう想像させるチャラさを漂わせた英国紳士を、絶妙な軽さと面白さを振りまきながら演じていて、観客(←つまり私ですが)を笑顔にしてくれます。

いいわ~、いい。ものすごくいい。

元々たれ目で困り顔のヒュー・グラントが困った顔をすると、ますますたれ目になるし、笑ってもさらにたれ目になる。チャームポイントの目じりのしわも、相変わらずしわしわで。たまらないわぁ(´∀`*)

ヒュー・グラントがやっぱり大好きだ!!と心から思いました。

軽やかなダンスもちょこっと披露してくれてて、すっかりニコニコになってしまった。ダンスと言えば『ラブ・アクチュアリー』『ラブソングができるまで』でも披露してくれましたよね。いいわ~(←そればっか苦笑)

そのシンクレアは深く妻を愛する一方で、なんと愛人がいます…。フローレンスはホテル暮らしですが、シンクレアは別の家で愛人と同棲中なのですΣ(=゚ω゚=;)

この愛人キャサリンを演じるのはレベッカ・ファーガゾン『ガールズ・オン・ザ・トレイン』や『ライフ』など、話題作への出演が続いているクール・ビューティ。

「え?愛人?ゲス?!」って思ったけど、その状況には理由があります。色んな夫婦の形があるのよね( ´_ゝ`)

妻のフローレンスは少女のような無邪気さと可愛らしさを持つ、とても繊細な心の持ち主で、持病を抱えていて、身体が弱い。

心から音楽を愛している。音楽は彼女の生きがいで、歌は生きる力の源なんですね。

「音楽は私の人生そのものです。」

フローレンスははっきりと、そう言い切る。だからこそシンクレアは彼女を傷つけないために、ずっと夢を見ていられるように奔走するわけですね。

「そんなの本物じゃないじゃん!」って思う人もいるかもしれない。実際にフローレンスが資産家だから成し遂げられたことだし、「お金があれば何をしてもいいの?」って批判的に思う人もいるかもしれない。

でもさ、生き甲斐が持つことで寿命を延ばし、カーネギーホールで万雷の拍手を浴びるという奇跡を成し遂げることができた。

何かに熱中できることがあるというのは、いいもんだなって、しみじみ思いましたよ。

そして、他の誰かがどんなに嘲笑っても決して笑わずにいてくれる人がいる

一つ間違えば痛々しいほどの勘違いになってしまうけど、すべてまとめて認めてくれる人がいる。すてきじゃないですか。

フローレンスを大切に思うからこそ、嘘を重ねてきたシンクレアの優しさが私は好きですよ。

フローレンス役のメリル・ストリープはもう完全なる音痴を見事に演じていました。 わざと 音痴に歌うって、ものすごく難しいと思うのよ。音痴に歌うレッスンを積んだらしいですよ。(どんなのなんだろ?)

本作では数々のオペラの名作が登場しますが、フローレンスが歌うととんでもないものになってしまっております。 。

そしてフローレンスの歌の伴奏を行う専属ピアニストのコズメ・マクムーンも存在感ありました!

この人がまた面白いんです!!実に表情豊か!

初めてフローレンスの歌を聞いた瞬間の、ボーゼンとした表情。湧き上がってくる笑いを必死にこらえながら演奏し、堪えきれず口の端をニヤつかせながらも、耐えに耐え、部屋を出てエレベータに乗った瞬間に周囲に人がいても笑い続けてしまう。その姿には劇場からも笑いがこぼれていました。

演じているのはサイモン・ヘルバーグ

この方は初めて知りましたが、今後チェックしてゆきたい役者さんです。

『ビックバン・セオリー』という作品に出演しているそうです。

描き方によっては、えげつない作品にも転びそうなお話ですが、ちりばめられた笑いと涙。バランスよくまとまっていて、ほんわかほっこりできる作品で、私の隣の人はすごく泣いてました!そういう私もほんのりと涙が滲んだシーンも。

以下はネタバレしつつ、気になったことをつらつらと。

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歌が生きる力に。

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引用:http://eiga.com/movie/84618/

フローレンスは「ヴェルディ・クラブ」というクラブを設立して、たびたびそのメンバーたちを観客にリサイタルを開いているのね。冒頭のリサイタルのシーンで、もう笑ってしまいました。

天使の衣装を身に纏い、上から吊り下げられて降りてくる!

舞台そででは吊るしたロープを持って震えながら必死に支えている男たちの姿が(笑)かと思えば、次のシーンではりりしい「ワルキューレ」に扮してみたり。

その妻をそっと脇から見守るシンクレアの表情がまた優しくてね。リサイタルが終わり、疲れてベッドに入ったフローレンスに朗読を聞かせながら、添い寝までしてあげるんです。そして眠りについたフローレンスのかつらを外して、額にキスをする。

そう、フローレンスは実はかつら。髪の毛もまつげもないんです。どうやら彼女が患っている病気の影響らしい。その病気は梅毒

18歳で最初の結婚をしたフローレンスは、夫から病気を移されてしまった。夫は遊び人だったらしい。病で左手の神経が侵され、ピアノを弾くこともできなくなってしまう。当時は今のように治療法も確立されてなかったのかな。医者が梅毒に感染してから50年も生きている人は見たことがないと驚くほどに、今、フローレンスが生きていることが奇跡だったのです。

「歌」こそが、フローレンスの生きる力でした。

フローレンスの病気のために二人は結婚当初から性生活を控えている。シンクレアに病気を移さないために。

フローレンスが「シンクレアの子どもが産みたかった。」と泣くシーンは胸が痛かったです。そういう事情があってフローレンスはシンクレアが愛人を持つことを許しているのですね…。それはそれで切ない(T_T)

何があっても認めてくれる人がいるということ。

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引用:http://eiga.com/movie/84618/

カーネギーホールと言えば3000人も入る大きなコンサートホール。

しかも、いつもように「理解者」のみを観客にすることもできない。何が起きるかわからない。フローレンスが傷ついてしまうかもしれない。

だから、シンクレアも最初は止めようとするのですよね。「身体も弱いし、心配だ。」って。

でも、病に冒され、ずっと死と隣り合わせに生きてきたからこそ、やりたいんだとフローレンスは強く訴える。歌が自分を救ってくれた、だからこそ、傷ついている兵士たちの力になりたいって。

フローレンスの決意が決して揺るがないことを知ったシンクレアもまた、強く決意する。

「僕が守る。」と。

何があっても認めてくれる人がいるって、すばらしいことだなって思いました。シンクレアが嘘をつき続け、フローレンスを守り続けたからこそ、彼女は歌い続けることができた。そのおかけで本当であればもっと早くに死んでいてもおかしくなかったのに、長生きすることができた。

心から愛し、信じて、心から認めてくれる人がいる。それは人生を生きて行くうえで、とてもとても心強いことで、映画を観ていて、こんなにも夫に愛されるフローレンスを羨ましくも感じました。

シンクレアが、コンサートの途中で歌えなくなってしまったフローレンスに向かって力強く頷いて見せるシーンも印象的でした。悪評が掲載されてしまったニューヨークポストを必死にフローレンスから遠ざけようと買い占める姿も…。

愛と優しさに溢れていました。

誰かの評価を恐れすぎないことの大切さ。

笑われるからやりたくない。評価されないからやりたくない。

そんな風に思ってついやりたいことをやらずに諦めてしまう。ありますよね。

このお話は映画なので、ここまで極端な話はなかなかないとは思いますが、自身を振り返ってみて、人の評価を気にする以前に、自分自身の声に耳を傾けること、大事だなって思いました。

自分の中にある目標、情熱、夢。誰しもが何かしらあるはず。

プロになって名声を得るだけがすべてじゃないのですよね。

好きなことをとことん追求してみる、がむしゃらにやってみる。その先に、何かしらの奇跡が待っているのかもしれない。

そんな風にも思わせてくれる映画でした。

「ひどい悪声だと非難されても、歌った事実は否定できない。」

カーネギーホールでのコンサートを終え、実は自分が嘲笑されていたことに気づいてしまったフローレンスが残した言葉です。

そう、事実は変わりません。彼女はカーネギーホールで歌い、万雷の拍手を浴びました。

たとえ皆が嘲笑っていたとしても、シンクレアにとってはフローレンスの歌声は素晴らしいもの、元気と与え幸せにしてくれるものでした。きっとシンクレアだけでなく多くの人々がフローレンスの生き方に勇気をもらったのかもしれません。

現在でもカーネギーホールのアーカイブでは彼女のコンサートが一番人気なのだそうです。

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その他気になったことなど。

シンクレア本人の写真が登場。

ラストで、シンクレアご本人のお写真が出てきたのですが、ヒュー・グラントに負けず本人もめっちゃハンサムでした。イギリス紳士って感じ(´∀`*)

1967年まで生き、音楽活動を大いに支援し続けたそうです。

サイモン・ヘルバーグ本人がピアノを弾いてる。

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引用:http://eiga.com/movie/84618/

ピアニストのコズメを演じた役者さん。なんと!ピアノは自分で本当に弾いているらしい。プロ並みのピアノの腕前を持つことから、今回の抜擢となったのだそうです。

コズメは黒子に徹し地味ながらピアニストとしての活動を続け、1980年に亡くなりました。

作品中で、筋トレに励んでいるシーンがありましたが、のちにボディービルを始めて審査員も務めたそうです。ピアニストとボディビル、面白い組み合わせですね^^

スターク夫人がかっこよかった。

ヴェルディ・クラブの会員の妻で、とってもセクシーな金髪美人。

最初はフローレンスの歌を聞いて大笑いしていましたが、カーネギーホールが笑い声であふれて歌えなくなってしまった時に「力の限り歌おうとしているのよ!」と一括し、流れを変えてくれます。コンサート成功の立役者の一人。

ブリーフケースの中身。

コズメが雇われるときに、いくつかルールが課されるのだけど。

そのうちの一つ。「フローレンスが持っているブリーフケースの中身を見るな。」というもの。

何が入ってるんだろう?と興味をそそられましたが、「遺言状」でした。何かあればその都度書き換えたりしていたみたいです。

ポテトサラダ

フローレンスはポテトサラダが大好きで、パーティでもお客様にたくさん振る舞うのですが、あまりにたくさん作るので普通の器では収まらなくて、なんとバスタブに山盛りにされてた(; ̄Д ̄)

で、そこからすくって皿に移して、皆さんにお出しする、という。いくらなんでもバスタブはちょっと…。

CDと本もあります。

フローレンスご本人のCDもあるらしい。(映画の中で作ってたやつかな。)

パッケージの写真はご本人。

本もあります。

『偉大なるマルグリット』

同じくフローレンス・フォスター・ジェンキンスの映画化作品です。

公開は2016年2月。同じ人の映画が同じ年に2本って珍しいかも。

主演は『大統領の料理人』のカトリーヌ・フロです。

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