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『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』その肌の下にあるもの。

本日の映画は『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』

主演はスカーレット・ヨハンソンです。

綺麗な女の人に道を聞かれて、喜びと下心いっぱいで、女性を道案内する男性が彼女=宇宙人のターゲットにされる、という作品…。

スカーレットが脱ぎます!ものすごく脱ぎます!!

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『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』

 独特な雰囲気の映画です。

スカーレット・ヨハンソンが脱いだ!っていうことでかなり話題になっていて、私もスカヨハの裸を目当てに観ましたが。

ええ、たしかに、ものすごい脱ぎっぷり。特にクライマックスでは「え?そこまで??」っていうところまで脱いでしまう、徹底した脱ぎっぷりを披露してくれます。

しかし、これはかなり独特な雰囲気の映画なので、スカヨハのハダカとか、『スピーシーズ 種の起源』みたいな作品だと思って観ちゃった人はつらい思いをするかも。(←私だ!)

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出典:映画.com

冒頭から、セリフもないまま、話が進んで行きます。

一台のバイクが夜道を疾走するシーンから始まり、バイクに乗った男は、林の中から女の死体を抱えて戻ってくる。

そして止めてあったバンに死体を乗せる。次に、真っ白い鏡のような不思議な場所で、のスカーレット・ヨハンソンが、死体になったスカーレット・ヨハンソンから服を脱がすという??という謎めいたシーンが続く。

いったい、“彼女”は何者なのか、バイクの男の正体は?

一切説明なし。

“彼女”は美しくメイクを整え、妖艶でセクシーな容姿を利用して、男たちに声をかけ、誘惑して、捕食する。

誘惑された男たちは、女の裸に見とれながら、鏡のような漆黒の沼に沈んでゆく。そして皮だけを残して彼女の養分になってしまう。

という一連のシーンが、なんかのギャグか?と思うくらいに繰り返される。そろそろ話が展開してゆくかな、何かあるかなと思っても、変わらずまともにセリフもないまま進んでゆくんです。何とも独特な雰囲気…うわー、苦手って思った。心をざわつかせる不穏な音楽も苦手…

主人公なのに、名前さえない“彼女”は、たんたんと「捕食」し続ける。

家族はいるのか、一人暮らしか、待っている人がいるのか、質問して相手の背景を探り、いなくなっても問題なさそうな人間を見極めながら。

そしてバイクの男は、“彼女”を守るように、“彼女”が残した痕跡を消してゆく。

“彼女”は誰であっても、どんな状況であっても、捕食対象に容赦はしない。溺れた人を助けようと、海に飛び込み、自らが溺れてしまった心優しい人間でさえも殴りつけてトドメをさし、捕食してしまう。

親が海でおぼれ、人気のない海辺に一人取り残され、泣きじゃくる赤ん坊には見向きもしない。人が溺れるということも、それを助けようとする人がいることも、親の姿が見えなくなり泣き叫ぶ赤ん坊も、“彼女”には理解できないものだったから。

人間はあくまで「食べ物」にすぎない。

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“彼女”は「何か」に目覚めてしまう。

しかし、26歳の一人の青年に出会ったことで、彼女は変わる。病のせいで、青年の容貌は醜かった。彼は人目にさらされることを嫌い、夜中に買い物に行く。

おそらく「奇形」という概念を持たない彼女は、青年に対し、顔をしかめることもせず、ごく普通に接して、会話を交わす。そして彼の手を「きれいな手」だと言うのだ。

青年にとって、生まれて初めて女性に触れ、部屋に誘われた経験は、夢じゃないかと自分の手をつねるほどに、嬉しい出来事だった。

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出典:映画.com

そんな彼に出会ったことが、“彼女”を変えた。

“彼女”は彼を捕食できなかった。

気の毒に思ったのか、それとも奇形だから捕食できなかったのか、わからないけれど。(まあ、でも、結局この青年はバイクの男に隠滅されてしまうのですが。)

“彼女”は男たちを漆黒の沼に沈めることができなくなってしまった。

人間に感情があるということに気づいてしまったからか。

“彼女”が何を思ったのかも、一切説明はない。

エイリアンの孤独

“彼女”は人を捕食することを止め、車を乗り捨て、あてもなく歩いてゆく。

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出典:映画.com

人間と同じように、ものを食べようとするが食べられない。人間と同じように、セックスしようとしたけれどもできない。(起き上がって、自分のをすっごい見てたけど、あれってどうなってるんだろうね?)

荒涼としたスコットランドの情景に、“彼女”の心情が重なります。冷たい雨が降り、霧に煙る森を一人で歩いてゆく“彼女”の孤独…。

正直なところ、何だ?この映画…と思いましたよ。

思いましたけれども。

ただ、かつてのように男たちを捕食することができなくなってしまった、“彼女”の「悲しみ」の描き方がとても美しかった。きっと、“彼女”は自分の胸に湧いてきた感情の名前さえ、知らなかったのだと思うけれども、“彼女”の「悲しみ」と冷え冷えとした風景とのマッチングがとてもよかったと思う。

人気のない山小屋で、つかれた体を横たえたとき、“彼女”に胸にどんな思いが去来していたのだろう?そして、残酷な人間の欲望が、容赦なく“彼女”に襲い掛かる。

雪の舞い落ちる白い空に、立ち上る黒い煙。

その煙には誰にもその存在を知られることのなかったエイリアン。ひっそりと世界の片隅で生き、殺された“彼女”のさまざまな思いがこもっていたことでしょう。

まとめ

『スピーシーズ 種の起源』みたいな映画を想像してみちゃったので、肩透かしは食らいましたし、面食らいました、「苦手!」とも思いました。

が、最後まで観てみると、方向性は嫌いじゃないなって思った。賛否両論があるみたいですが、意外にこういう作品が今後、カルト的人気の映画になっていくかもしれないなと思いました。

と、思ったらプロが選んだSF映画100選に選ばれていました。万人受けはしないけれども、玄人には評価は高いようです。

参考>>【おすすめSF映画】プロが選んだランキング!『SF映画ベスト100』映画史上に残る名作ばかり。情報誌Time Outロンドン版より

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