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『スプリット』/M・ナイト・シャマラン最新作。23つの人格を持つ男に誘拐された少女たち。【ネタバレあり】

ずーっと公開を楽しみにしていた作品を劇場で観てきました。

M・ナイト・シャマランは新作が公開されるとチェックしたくなる監督です。

世間の評価は低いけれど『ハプニング』や『レディ・イン・ザ・ウォーター』も嫌いじゃないんですよね。ほとんどの作品を劇場で観てるんじゃないかな。

一時期低迷してどうなるかと思いましたが、前作『ヴィジット』で見事にシャマラン節が復活しました。

▽『ヴィジット』あの人の半ケツとヤッツィ!が忘れがたい(笑)。

ネタバレしないようにこの映画のことを語るのは難しい。かといって何も知らずに観たら意味が分からないような気もします…あぁ、でも何も言えない…。

ツイッター上で映画評論家の町山智浩さんのスイートがネタバレにあたるかどうか、が議論になっていて。

私は町山さんをフォローしてるのでもちろんそのツイートも見ており、私はふーん、くらいにしか思わなかったのですが、情報を発信するということは難しいなぁとつくづく思ったのです。

ちなみに下の方では思いっきりネタバレを書いていますので、未鑑賞の人はご注意を。

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『スプリット』

基本情報

監督:M・ナイト・シャマラン

出演:ジェームズ・マカヴォイ/アニヤ・テイラー=ジョイ/

製作:2017年/アメリカ

あらすじ

「シックス・センス」「ヴィジット」のM・ナイト・シャマランが、ジェームズ・マカボイを主演に迎えてメガホンを取ったサイコスリラー。見知らぬ男に拉致され、密室に閉じ込められた女子高校生3人組は、監禁場所で神経質な雰囲気を漂わせた男を目にする。男が部屋から立ち去り、必死に脱出方法を思案している最中、ドアの外から男と女が会話する声を耳にした3人は助けを求めて声を上げるが、そこに現れたのは、女性の服に身を包み、女性のような口調で話す先ほどの男だった。男には23もの人格があり、9歳の少年やエレガントな女性など、ひとりの体の中で人格が激しく入れ替わっていく。そして、そんな男に24番目の人格が現れ……。スプリット : 作品情報 – 映画.com

感想(ネタバレあり)

まずこの作品で素晴らしいのはジェームズ・マカヴォイの演技力。もともと演技力には定評がある役者さんですが、この作品ではその実力をいかんなく発揮。

画像4http://eiga.com/movie/86367/

強迫神経症の神経質な男性、9歳の子供、上品な女性、ムキムキ…etc

主人公ケビンは解離性同一性障害いわゆる多重人格なので、次から次に人格が変わります。

潔癖症で気難しそうに眉を潜める表情を見せたかと思えば、ロングスカートをはいた女性に変わり、またまた9歳の子どもヘドウィグに変わってしまう。

クライマックスでは最終形態へと進化し、筋肉隆々、壁や天井をはい回り鉄の檻をも捻じ曲げる”ビースト”と呼ばれる24番目の人格まで現れます。

▼9歳のヘドウィグになったマカヴォイさん

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しつこいけれど本当にマカヴォイがすごい。整った綺麗な顔立ちをしているのに頭はハゲだし(『X-MEN』でもつるつるになりましたが。)。

まあ髪型は置いとくとしても、とにかく驚異的。

扉の向こう側で交わされる男女の会話は、実際は一人芝居なのだけど完全に別人で、二人の声に聞こえるし、ぐにゃりとした笑顔と少し舌足らずなしゃべり方はまさに子供のそれ。

バリーという人格が比較的バランスのとれた人格らしく、仕事を持ち精神科医のカウンセリングにも通っているのだけれど、その主治医のフレッチャー医師に「バリーではない。」ことを指摘され、医師の前でバリーからデニスに変わる瞬間…。

一瞬で目つき、口調、表情のつくりかたがガラッと別人に。

表情筋の使い方が根本的に変わる感じ。

クライマックス。

瞬時に人格がくるくる変わるあのシーンもファンタスティックでワンダフル、この世の物とは思えない変幻自在な変わりようで「お見事、参りました!」としか言いようがなかった。

あとはカニエ・ウェストの音楽に乗って披露される妙ちきりんなダンス…。

あまりに異様、あまりに奇妙、奇奇怪怪でホットなダンスは、思わず笑いがこぼれてしまったほどだったけれど、目の前で披露されたらケイシーが涙目になるのも仕方がないと思われます…ガ━━━━━━━∑(゚□゚*川━━━━━━━━ン!

▼さらわれた3人の女子高生のうちの一人ケイシー

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さらわれた女子高生3人組。

3人ともがそれぞれ可愛らしいのですが、特にケイシーを演じたアニヤ・テイラー=ジョイの存在感が光りました。

(3人の少女がおのおの潔癖症のデニスに汚れた服を脱がされてしまうのでだんだんと露出が増える、というちょっとしたサービスショットあり)

アニヤは黒目が大きくて目力があるんですよね。

オープニングショットにケイシーが映し出された瞬間、賑やかな空間に身を置きながらも一人孤独を纏った寂しげで大人びた表情に目を奪われました。

物語は監禁された3人の少女たちが異様な監禁犯の様子に怯えながらも隙を見て脱出しようと試みる展開に加え、ケイシーの幼少期のエピソード、フレッチャー医師とケヴィン(というかバリーのふりをしているデニス)の絡みという3つのエピソードが絡みつつ進んでいきます。

ちなみにデニスは裸の女性が躍っているのを観るのが好きという変態です。

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ケイシーは子供のころから狩猟が好きな父に連れられて狩りをしていたようで、少し「普通の少女」とは違う。まずは静かに敵を観察し、”狩る”機会を伺っているようにも見えます。

通常ならば恐怖で震えあがるところで、自制心で己を押さえ、”付け入るスキ”がありそうな9歳のヘドウィグとコミュニケーションを図る。

差し挟まれる幼いケイシーと父との狩りのシーンは微笑ましいものだったのだけれど、徐々に無情なものへと変わっていく。そして彼女の生きてきた過酷な人生こそがケイシーの命を救うことになるという皮肉。

ビーストから逃れ生きのびたケイシーが最後に見せたあの眼差し。

かつて幼かったケイシーは撃とうとして撃てなかった人がいた。成長したケイシーはビーストに向かって銃を向け、銃弾を撃ち込むことができた。

彼女は一連の事件を通じて”何かを失い、代わりに””何か”を得て、もう事件の前とは変わってしまったのだと思った。ビーストから解放されても彼女の戦いは続くのだ。

多重人格を扱ったサスペンスだと思っていたので、終盤の展開は驚かされるばかりだったのですが、例の町山さんのツイートが「あぁ!!」とすとんと腑に落ちました。

「無敵の男」というフレーズからはあの男を連想します。

なので、もしかしたらと思ってずーっと期待して待っていましたが、予想的中。

ダイナーで流れる監禁事件のテレビにニュース。

そのニュースを観ている若い女性たちが「15年前の事件」について語っている。

「あの事件の犯人、車いすに乗っていたあの犯人はなんという名前だったかしら…。」

「ミスター・グラスだ。」

と答える男が映し出される。

その男の名前は「デイヴィッド・ダン」

シャマランの初期の監督作『アンブレイカブル』の主人公。決して壊れない男。

そして「ミスター・グラス」とは同作でサミュエル・L・ジャクソンが演じたイライジャ・プライス。

『アンブレイカブル』を知らない人はなぜ急にブルース・ウィリスが出てくるの?ときょとんとしてしまいそうですが。

なんと『スプリット』は『アンブレイカブル』の続編でもあったのですね。続篇の製作が決定しており、作品名は『グラス(原題)』

ブルース・ウィリス、サミュエル・L・ジャクソンも加わって二つの作品がクロスオーバーするらしいです。もちろんマカヴォイもアニヤも出演。これは楽しみです^^

続篇の構想は最初からあって『アンブレイカブル』にはケヴィンがちょこっと出演していたらしいですよ。確認しようと、改めて『アンブレイカブル』を観ようと思ったらレンタルショップではすべて借りられてました。同じことを考える人が多かったみたい。

▼本作をもっと楽しみたい方はこちらをチェック♪

その他気になったこと。

エンドロールにマカヴォイの名前がいっぱい。

色んな人格を演じましたので、それぞれ出演者として名前が記載されてました^^;

デニス、パトリシア、ヘドウィグ、ケヴィン、ビースト、ジェイド、オーウェル…。全部マカヴォイ。

アニヤ・テイラー=ジョイがかわいい。

2017年7月にサンダンス映画祭で話題を集めた『ウィッチ』という作品が公開されるようです。あとオバマ元大統領の大学時代を描いたドラマ『バリー』に出演しているみたい。こちらはネットフリックスで見られるようなので近々チェックしようと思います。

シャマランが出演しています。

いつも自分の作品にちょこっと出演することで知られている(ちょっとじゃない時もあったけど…。)シャマラン監督が本作でもちょこっと出演してました。フレッチャー医師に防犯カメラを見せる男性です。

ケヴィンが持っていた花束の意味

地下鉄のホームに供えた花束の意味。あれは『アンブレイカブル』で起きた列車事故でケヴィンの父親が亡くなっているという設定があるためらしいです。

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ネタバレ騒動の件

映画評論家の町山智浩さんのツイートの内容は、

「スプリット」を観る前に『シックスセンス』『サイン』『アンブレイカブル』この3つのシャマラン初期の作品を事前に観ておこう、そうでないとラストの意味がわからないから。

というものでした。

これらの作品です。どれもオススメです。

当初そのツイートを観た時はネタバレとは思わず、初期の作品と雰囲気が似てるのかな、もしかして世界観が共通してるのかもしれないなと思いました。

「ネタバレだ!」と批判されてるのを見てそこで初めて「え?ネタバレなの?何が?」となって、改めてツイートを確認すると、3つのうちどれかが『スプリット』のラストと関連している、というような書き方だったんですよね。

3つのうち、どの作品が該当するのか?はだいたい予想がつきましたが、それでも楽しかったし、いつ来るか、何が出るかと待ちわびた部分がありました。

わかっていた方が楽しめる、というケースもあるので、私は今回のツイートは気になりません。でも、一切何も知りたくなかった!という人もいただろうな…というのは想像ができます。過去の作品とつながりがあること、それ自体を映画を観て知って驚きたかった、という人。

ネタバレしないように配慮したからこそ、特定できないようにあえて複数の作品名をあげているわけで…「ネタバレ」とまでは言えない気もするけど、むずかしいですね。

どう言えばいいの?どこまで言うのが適切なの?…うーん。インターネットで情報を発信するのは難しいなぁと思いました。

以上、『スプリット』の感想でした。

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