開初日。tohoシネマズ新宿にて鑑賞。
本日公開初日を迎えた『ムーンライト』とどちらにするか迷ったのですが、ナタリー・
アカデミー賞効果もあり『ムーンライト』は売り切れ続出のようでしたが、こっちはまだ空きがありました。
▼『ムーンライト』は後日鑑賞しました。
『ムーンライト』/月光に包まれた美しい夜。第89回アカデミー作品賞受賞。
結論としてあんまり好きな映画ではなかったのですが、ナタリーの演技は必見の価値ありです。エマ・ストーンじゃなくてナタリーがオスカー受賞してもよかったんじゃないかと思いました(*^-^)ニコ
※2017年度のアカデミー主演女優賞は『ラ・ラ・ランド』のエマ・ストーンが受賞しました。
Contents
『ジャッキー ファーストレディ 最後の使命』
基本情報
監督:パブロ・ラライン
出演:ナタリー・ポートマン/ピーター・サースガード/グレタ・カーウィグ/ビリー・クラダップ
製作:2016年/アメリカ・フランス
ナタリー・ポートマンといえば『レオン』で鮮烈なデビューを飾った女優さんで、その後も順調にキャリアを重ねていきつつ、ハーバード大学に進学した才女。6か国語?だったかな。語学にも堪能で、IQもかなり高いらしい。。人類最強って感じがする(*`д´)b OK!
『ブラック・スワン』でアカデミー主演女優賞を受賞し、本作でもオスカーにノミネートされました。受賞したのは『ラ・ラ・ランド』のエマ・ストーンだけど、ナタリーが受賞してもよかったんじゃないかって。本作品で見せた凄みのある演技は、それだけで観てよかったと思わせてくれました。
衣装デザイン賞にもノミネートされましたが、60年代のレトロ感ある様々な衣装を身に纏ったナタリーは本当に美しかった。見とれてしまうほどに。
あらすじ
ナタリー・ポートマンがジョン・F・ケネディ元大統領夫人ジャクリーン・ケネディを演じ、ケネディ大統領暗殺事件をファーストレディの視点から描いた伝記ドラマ。1963年11月22日、テキサス州ダラスを訪れたケネディ大統領が、オープンカーでのパレード中に何者かに射撃され命を落とした。目の前で夫を殺害された妻ジャクリーンは悲しむ間も与えられず、葬儀の取り仕切りや代わりに昇格する副大統領の大統領就任式への出席、ホワイトハウスからの退去など様々な対応に追われることに。その一方で事件直後から夫が「過去の人」として扱われることに憤りを感じた彼女は、夫が築き上げたものを単なる過去にはさせないという決意を胸に、ファーストレディとして最後の使命を果たそうとする。
感想(ネタバレ)
はっきり言ってよくわからない映画でありました。
映像の感じもそれなりに好きだしナタリーの演技も好きなのですが、いまいちよくわからなかった。もう少し時間が経てば、ジャッキーという女性を消化できるのだろうか。うーむ。
ジャッキーことジャクリーン・ケネディがどんな人であったのか、私は知らない。
ケネディ大統領暗殺事件当時の記録フィルムで夫の肉片らしきものを必死にかき集めている姿をテレビで観たことがあるのと、その後、大富豪と再婚したことを知っているくらい。
もう少し事前知識を入れてから見るべきだったのかもしれない。映画を観る時はなるべく前情報を入れずに観ることを心がけているのですが、伝記映画でそれをやってしまうと置いてけぼりを食ってしまうかも。(←私です。)
『キャメロット』という言葉が米国でどういう意味で使われているか(後述)も鑑賞後に調べて知りましたし、作品の中で撮影されいたホワイトハウスをジャッキーが案内するドキュメンタリー番組もアメリカではとても有名なものらしい。
カメラが初めてホワイトハウスに入った貴重な映像で、洗練されたセンスを持つジャッキーがファッションアイコンとして注目を集めるきっかけにもなった当時もっともアメリカで視聴されていたテレビ番組で、エミー賞を受賞しているそうです。
▼メイキング映像。実際の番組とそっくりに再現されていることがわかります。
映画『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』フィーチャレット映像<ホワイトハウス・ツアー>篇
このあたりの知識は前知識として入れておくと、よかったかな、と思いました。
http://eiga.com/movie/86055/gallery/2/
いまいち共感できなかった。
正直なところ、映画の中のジャッキーは私にとってはあまり好感を持てる人物ではなかった。特に前半。後半で印象が少し変わります。
サブタイトルは「最後の使命」
キャッチコピーは
彼女が史上最も有名なアメリカ大統領を<伝説>にした
私の勝手な想像なのですが、「サムライの妻」のごとく気丈に振る舞う女性を想像していたので、時に「ワガママ」で「ヒステリー」にも見えてしまうジャッキーの言動と行動は意外でした。
やたら「どうみられるか」を気にして形式や見栄えに拘るのもよくわからなかった。
映画を観終わった今も彼女の行動に100%共感しかねる部分はあります。
ただ、彼女は目の前で夫を殺された妻なのだ。
隣に座っていた夫は頭部に銃弾を受け頭蓋骨がはじけ、むき出しになった脳を”こぼれないように”自分の手で押さえ続けた。
身体に浴びた夫の血を泣きながらふき取り、着ている服にも血の染みがついたまま…。
▼顔についているのは夫の血です…。
そう思うと、映画とは言えそのような残酷な状況におかれた女性に「気丈に振る舞うこと」を求めていた自分を戒めたくなりました。。。ジャッキーはもう十分気丈で、十分耐えている。私だったらもっと取り乱して泣き叫んでる。 ジャッキーだって本当はただ悲しみに暮れていたかったに違いない。
しかしジャッキーはそれが許される立場にはいなかったのだ。
http://eiga.com/movie/86055/gallery/9/
ケネディの遺体を積んだエアフォースワンの中で、新大統領のリンドン・ジョンソンの宣誓が行われたとき、ジャッキーはまだ血の付いた服を着たままだった。(呆然自失の表情も痛々しく感じられた。)
さっきまで夫が就いていた地位は別の人のものになってしまう。夫はあっというまに「過去」に追いやられていく。
まだまだこれからだった。種をまきこれから芽が出ようとする時だった。夫のものになるべきであった業績は後から来た別の人のものになってしまう。
妻である自分が今できること。しなければならないこと。
それは夫の功績と記憶を世界中の人々の記憶に刻み付けること、ジャッキーはそう考えた。
ジャッキーは今なお、国民の記憶に深く刻まれ愛され続けるリンカーン大統領の葬儀について調べ、同じように執り行おうとする。
なぜそんなに派手な国葬にこだわるのか?
なぜ銃撃されるかもしれない危険を承知で、わざわざ棺のそばを行進することにこだわるのか?
困惑する周囲を気に留めることなく自分の主張を押し通すジャッキーは観ていてあまり気持ちのいいものではなかった。時々上からモノを言っている雰囲気が出るのもなお、好きではなかった。しかし。
大事なのは形じゃない。中身だ。
というのはきれいごとで、民衆の多くは見た目や形式から受ける印象に左右されてしまうのものなのだ。実際のあの葬儀の映像は私も何度も目にしているが、棺を馬車で運び、そのそばに寄り添うように歩く夫人の姿は観る者に強い印象を残した。
ジャッキーが願ったように、ケネディ大統領は今もなお、世界中の人々の記憶に焼き付けられている。
ジャッキーは特別目立ちたがりなわけでも、虚栄心が強いわけでもないのだ。ただ夫を深く愛した一人の女性だったのだ。彼女は彼女なりの方法で夫のためにできることをやろうとした。強い女性だと思う。記者が待ち構えていようが堂々と表口から外へ出る。隠れなけばならないことはなにひとつしていないから。
彼女の同じように振る舞える女性は、きっとそれほど多くない。
http://eiga.com/movie/86055/gallery/3/
<スポンサーリンク>ナタリーはすばらしかった。
お話自体はとても淡々としていて、観ていてしんどくなる部分もありましたが、とにかくナタリー・ポートマンがすごかったのです。
冒頭のジャッキーの表情からして鬼気迫るものを感じました。
ジャッキーが話し始めるととても驚かされたのですが、まるでナタリーとは別人なのですよ。口調も声音も、話す時の顔のちょっとした表情の筋肉の使い方までがいつものナタリーではない。
ジャッキー・ケネディ本人にそっくり似せてあるらしい。私はジャッキー本人の話し方を知らないので似てるのかどうかまではわからないのですが、ジャッキーに憑依されたかのごとく似ているのだそうです。
暗殺事件前のファーストレディとしての美しい立居振舞。
事件直後の衝撃と放心と焦燥。哀しみと怒り。後悔。
子供を気遣う母心。これからの不安。
そして夫のいなくなったホワイトハウスでの奇行。
心ここにあらずといった様子でふらふらと徘徊する姿はまるで幽鬼のようで。
一人でレコードをかけてドレスアップをしていいお酒を煽る姿はどこか『シャイニング』(←ジャック・ニコルソンがめっちゃ怖い映画)を思い出させた。
それからアーリントン墓地の霧の中に浮かび上がるようなジャッキーの後姿も忘れがたい。
感情的なってヒステリックにロバート(ケネディの弟)を怒鳴りつけ、周りの反対を押し切って大がかりな国葬を執り行おうとした張本人なのに、どたんばで葬儀の内容を二転三転させて周囲を振り回す。
その行動は好感が持てるものではない時もありましたが、夫が暗殺されて1週間。
怒涛のような流れの中で必死に哀しみ耐え、夫を救えなかった自分を責め、死にたいと願いながらも幼い子供を守り生きようとしている女性なのです。
映画自体はそんなに好きな作品ではないのですが、ナタリー・ポートマンの演技は必見です^^
あと、音楽。
本作、アカデミー作曲賞にノミネートされたのですが、ちょっと不気味で心をざわめかせるような落ち着かない音楽が印象的でした。印象的だけど、苦手です。
製作がダーレン・アロノフスキーだからホラーテイストが少し入っていると聞いていたのですが、それほど感じなかったです。ホワイトハウスをふらついているシーンはジャッキーが正気を失いかけているように見えて怖くなりましたが。
その後、ジャッキーは1994年に死去。ケネディのロバートは1968年に兄と同じく凶弾に倒れました。
▼実在の人物の半生を描いた伝記映画はこちらにもあります。
【おすすめ伝記映画】実在の人物の半生を描いた名作映画25選。アカデミー賞受賞作品も多数。
その他気になったこと。
子供たちのその後
愛らしいケネディのふたりの子供たち。
息子のJFKジュニアは1999年に事故で亡くなりましたが、娘のキャロラインは駐日アメリカ大使として有名ですね。
グレタ・ガーウィグ
http://eiga.com/movie/86055/gallery/14/
ジャッキーのそばに寄り添うナンシーを演じたグレタ・ガーウィグ。『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』や『フランシス・ハ』で知られる女優さん。
優しさが滲み出ていて、本作でジャッキーが心を許せる唯一の人という感じでした。しぐさで「わらって。」って伝える様子が印象的でした。
▼グレタ・ガーウィグ出演作
キャメロット
失意のジャッキーがホワイトハウスを彷徨う時にかかったいた曲。悲痛なシーンなのに妙に明るい曲なのが印象的でした。
終盤のジャーナリストとのインタビューの中でも語られた「キャメロット」はイギリスのアーサー王と円卓の騎士が暮らした都として知られています。なぜここでキャメロットなのかがわからなかったので調べてみました。
実はアメリカでは自信と希望に満ちたケネディ時代を表す言葉としてこの『キャメロット』という言葉が使われているのだそうです。ケネディ時代にアメリカでは『キャメロット』というミュージカルも大人気だったそうで。
ジャッキー本人がのちにケネディの人生をアーサー王の重ねあわせたのがゆえんです。映画で描かれたあのジャーナリストとの会話こそが『キャメロット』の誕生だったのでしょうか。
▼『キャメロット』の動画です。
アーサー王伝説は様々な映画のモチーフになっていますが、コリン・ファース主演の『キングスマン』でもキャラクターの名前がが円卓の騎士から取られていました。
ちなみにキャメロットと聞くと、藤本ひとみの『愛と剣のキャメロット』を思い出しちゃいますけどね。
撮影監督 ステファーヌ・フォンティーヌ
ヴィゴ・モーテンセン主演のヘンテコ一家が織り成す物語『はじまりへの旅』や、イザベル・ユベールが初のオスカーにノミネートされた『エル』でも撮影監督を務めており、いずれの映画も映像の美しさは目を引きました。本作でもストーリーに共感できるかは横に置いておいて、ジャッキーの心象風景を現したような美しいシーンがいくつもありました。
こけし
記者にインタビューを受けているジャッキーの家の棚に「こけし」が置いてあったのが妙に目につきました。土産物屋でよくみかけるやつ。
▼こんな感じのこけし。
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