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『ルームメイト』(1992)/真似をする女。

本日の映画は『ルームメイト』です。

ルームメイトを募集したら、ヤバい人でした…というサスペンスで、1990年代を代表する作品です。

先日、『ヒッチャー』(※嵐の夜にヒッチハイカー乗せた青年の悪夢を描いた作品)を観たところ、まだあまり有名でない頃のジェニファー・ジェイソン・リーが出ていたんですよ。珍しく可愛らしい、ごく普通の女の子役で。

ジェニファーつながりで、ふと『ルームメイト』が観たくなりました。ジェニファーの怪演が光る作品です。

『ルームメイト』は「ストーカー」という言葉が、日本でまだ一般的でなかった頃に公開された映画。

名前がないからこそ、際立つ異常性。

今だとよくある「ストーカーもの」と片づけられてしまいそうな作品ですが、当時は得体の知れないヘディ(ジェニファー・ジェイソン・リー)の狂気にぞっとさせられたのです。凄まじいんです…。

▽ジェニファーの演じたヘディは「怖い女」として以下の記事でも取り上げています。

参考>>>女性が怖い映画。絶対に敵に回したくない怖い女が登場するおすすめ映画

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『ルームメイト』(1992年)

基本情報

監督:バーベット・シュローダー
出演:ブリジット・フォンダ/ジェニファー・ジェイソン・リー
製作:1992年/アメリカ

バーベット・シュローダーは『運命の逆転』でアカデミー賞にノミネートされた経歴の持ち主。

▼ジェニファー・ジェイソン・リー出演作品

『ジャケット』/キミに会うために。エイドリアン・ブロディ、キーラ・ナイトレイ共演。 

ブリジット・フォンダはリュック・ベッソンの『ニキータ』のハリウッドリメイク『アサシン』での孤独な殺し屋の演技が印象に残っています。

参考:殺し屋・ヒットマンが印象的に登場する映画をピックアップ!かっこいい殺し屋、背筋も凍る殺し屋、色々登場します。

あらすじ

 ケンカして同棲相手を追い出したアリーは、経済的理由から同居人募集の広告を出した。それを見てやってきたヘディは、アリーとは全くタイプの異なる女性だった。二人は互いに意気投合するが、次第にヘディはアリーの真似をするようになっていき……。引用:映画 ルームメイト – allcinema

感想(ネタバレあり)

ルームメイトを募集します。

アリー(ブリジット・フォンダ)はニューヨークで恋人サムと暮らしていたが、サムの浮気により破局。新しいルームメイトを募集することにした。

新聞の募集広告を見て応募してきたのがヘディ(ジェニファー・ジェイソン・リー)。

個性が濃くルームメイトとしては適さない応募者たちが多い中で、内気で真面目そうな地味なヘディにアリーは好感を持ち、彼女をルームメイトとして選んだ。

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出典:http://www.imdb.com/title/tt0105414/?ref_=ttmi_tt

都会派で洗練されたアリーと、あか抜けない田舎少女風のヘディ。全く違うタイプの二人は、当初は仲良く暮らしていたんですよね。ヘディが買ってきた犬を一緒に飼い始めたりして。

床にぺたんと座り込んで、「犬買ってきちゃった。」みたいな表情をするヘディはなんだか可愛らしかったなぁ。後半とのギャップがすごいΣ( ̄ε ̄;|||・・・

しかし、サムとアリーが寄りを戻しちゃうんですよね。そこから、ヘディに徐々に変化が見え始める。

アリーへの一方的とも思える思い入れ。ふとした瞬間に魅せるむき出しの感情。アパートに出入りするサムに、ヘディが馴れ馴れしい態度を取ることもアリーは不快に思う。そしてアリーは徐々にヘディに対して冷ややかな態度を取り始めてしまう・・・。

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自分が乗っ取られていくような恐怖。

アリーの変化を敏感に察知したヘディは、ますますアリーへの執着を強めていく。髪形や服装まで、アリー本人かと見まがうほどに真似し始める。

美容院で、アリーと全く同じ髪形になったヘディが階段から降りてきた瞬間!

 

予告編などでも目を引く印象的なシーンですが、アリーだけじゃなく、観てるこちらももぎょっとするほど似ていました…。実際にやられたら、息止まりそう^^;

本人かと見間違うほどに真似をする。現実世界でも「真似する女」に遭遇することがありますが、どんな心境なのでしょうね。

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出典:http://www.imdb.com/title/tt0105414/?ref_=ttmi_tt

嫌いな人の真似はしないでしょうから、「好き」や「憧れ」のゆがんだ表現ではあるんでしょうが。やられる方はたまったもんじゃない。はっきり言って気味が悪い。

しかし、真似をしている当人にはさほど悪意がなく、法に触れるわけでもないので対処も難しい…。自分自身が乗っ取られていくような、自分自身が奪われていくような得体の知れない不安と恐怖…。

ヘディの狂気は止められない。

後半になると、ヘディの狂気が怒涛のようにアリーを襲う。手加減一切はない。愛情がそっくりそのまま裏返り、激しい怒りに転化する。理性を失ったヘディは全力でアリーとその周辺に攻撃をしかけていく。

もうね、ジェニファー・ジェイソン・リーがすごいんですよ、表情が前半とキャラが全く違う

目つきも声音も全くの別人。少しおどおどして、自信なさげな笑みを浮かべていたヘディはどこにもいない。ジェニファー・ジェイソン・リーの怪演はこの映画の最大の見どころ。

アリーに語っていた身の上話は全部ウソ。名前までウソ。セクシーな服装でいかがわしいお店に出入りし、アリーになりきって楽しんでいるヘディ。

アリーの友人のグラハムを襲い、可愛がっていたはずの犬にまで容赦なく怒りが向ける。アリーの恋人サムを殺めて、アリーを縛りつけて監禁する。そこまでやるか~。(げんなり)

ヘディは、どうしたかったんだろう。

ヘディはアリーになりたかったんだろうか?

アリーと同じ服を着て同じ髪形をして、監禁して脅してまで、アリーをそばにおいて、いったいどんな生活を望んでいたんだろう。

ヘディには双子の姉妹がいて、どうやら片割れの方がかわいがられていたらしい。片割れは幼いころに湖で溺死してしまったという。その原因について、直接的な話は出てこなかったけれど、おそらくヘデイが関わっているのだろうと想像できる。

ヘディはそれ以来、ずっと心を病んでいたようです。

田舎にはずっとヘディを心配して、帰りを待っている両親がいるのですが、両親を頼ることはできなかったのか、したくなかったのか。ヘディの孤独な人生が垣間見えて、気の毒だと感じてしまう私がいました。あれほど、恐ろしい女なのに、思わずヘディに同情してしまうような事実。

死んだと思っていたグラハムに助けられ、アリーは辛うじて生き延びた。しかし表面上は平穏な日常が戻ってきても、ヘディとの恐ろしい経験はアリーの人生を根本から変えてしまい、もう昔と変わらない人生を歩むことはできない。

ヘディはその命を以て、大好きなアリーに自分自身の存在を深く深く刻みつけたのだのですね。

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気になったこと

 意外な凶器が登場

ピンヒールが武器になることを、この映画で知りました…Σ(|||▽||| )

家賃統制アパート

アリーにセクハラして、最後はヘディに殺されちゃうおじさんが、「家賃統制アパートなんかに住んで生活苦しいんだろ。」なんて言ってアリーに迫ってました。

で、初めて聞く言葉だったので気になって調べてみました。

『家賃統制アパート』とは1940年代に作られた、家賃を低く抑えたアパートだそうです。家賃は安いけれども非常に古いので、二人の住んでいる部屋の水道が壊れたり、ドアが閉じなかったり、通気口から会話が丸聞こえだったりしたのはそういうわけのようです。

ジェニファー・ジェイソン・リー の怪演が光りました。

ジェニファー・ジェイソン・リーがけっこう何回もポロリしている。小柄だし痩せてるけど、こぶりでいい感じでした。(恒例のおっぱいチェック(笑))

ブリジット・フォンダの親戚がすごい。

ブリジット・フォンダは、祖父がヘンリー・フォンダ(『12人の怒れる男』)、父がピーター・フォンダ(『イージー・ライダー』)、伯母がジェーン・フォンダ(『黄昏』『帰郷』)という華麗なる芸能一家に生まれました。

いずれもアメリカの映画史を語るためには必ず名前が登場する名優たちです。

以上『ルームメイト』の感想でした。

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