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『20センチュリー・ウーマン』【ネタバレあり】/1979年、特別な夏の物語。

予告のエル・ファニングとグレタ・ガーウィグに心惹かれました。

たまたまなのですが、本作を監督しているマイク・ミルズの『人生はビギナーズ』を少し前に観たのです。それがいい映画だったので本作にも期待をしていました。

新宿ピカデリーにて鑑賞。劇場で化粧品の試供品をいただきました。『CYCLE PLUS(サイクルプラス』というブランド。

なんでだろ?初日だから?女性が好みそうな映画だからかな?男性ももらっていました。何はともあれ、ありがたく使わせていただこう。

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 『20センチュリー・ウーマン』

基本情報

監督:マイク・ミルズ

出演:アネット・ベニング/エル・ファニング/グレタ・ガーウィグ/ルーカス・ジェイド・ズマン

製作:2016年/アメリカ

第89回(2017年)アカデミー脚本賞ノミネート。

あらすじ

「人生はビギナーズ」で自身のゲイの父親をモデルに描いたマイク・ミルズ監督が、今度は母親をテーマに描いた物語。1979年のサンタバーバラを舞台に、15歳の少年ジェイミーとシングルマザーのドロシア、そして彼らを取り巻く人々の特別な夏を描いた。思春期の息子ジェイミーの教育に悩むシングルマザーのドロシアは、ルームシェアで暮らす写真家アビーと、近所に暮らすジェイミーの幼なじみのジュリーに、ジェイミーを助けてやってほしいと頼む。母ドロシアに扮した主演アネット・ベニングは、ゴールデングローブ賞の主演女優賞(コメディ/ミュージカル部門)にノミネート。ジュリーを「マレフィセント」のエル・ファニング、アビーを「フランシス・ハ」のグレタ・ガーウィグが演じた。引用:20センチュリー・ウーマン : 作品情報 – 映画.com

感想(ネタバレあり)

まず大まかに結論を言うと、ちょっと苦手な作品だった。

とてもおしゃれで、映像が綺麗で、キャストもよくて、気のきいたセリフが散りばめられていて、こういうの好きな人はとことん好きだろうなぁと思ったけど、その中に私は入らなかったというわけだね。

1970年代のアメリカの雰囲気がまるでわからないので「?」となるシーンが多かったのです。フェミニズムとかジミー・カーターの演説とかパンクとか。???だらけだった。そこがいけなかった。

映画の雰囲気はとてもよく、どこを切り取っても絵になる映画。

細かいことは気にせずに流れに身を任せてみればいいのかも。きっとあの時代を生きた人、青春時代を送った人にはたまらないものがあったんじゃないかな。と思います。ノスタルジーって感じ。少しセピアがかったような映像もノスタルジックで。

イマイチ乗れなかったとはいえ、「いいな。」と思うところもありましたよ^^

思いついたことをだらだらと書きます。

▼母一人子一人のジェイミーとドロシア

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思春期の息子とシングルマザーのすれ違いを描いたお話。親子でも異性だから余計に「わからない。」と不安になる母。よかれと思ってしたこと、言ったことが息子を傷つけたり苛立たせたり。でも基本的には理解のある母。もしくはそうであろうとしているように見える。

映像の美しさが際立つ

本作は映像がとても綺麗だった。『人生はビギナーズ』でもワンポイントの色彩の鮮やかさ、特に黄色が印象的だったのですが、本作も色彩の美しさがまず目につきました。

▼パッケージも鮮やかな黄色『人生はビギナーズ』

主人公ジェイミーは離婚をして女手一つで息子を育ててきた母ドロシアと暮らしているのだけれど、その家のキッチンが映った瞬間。おしゃれな色彩に心のテンションがぐいっと上がりました。

黄色い壁とドアと棚、水色のコンロ。キッチンを出れば赤いドアや青の壁があったり。

ドロシアの家に下宿する写真家アビーの赤い髪の毛と赤いシャツ、ジェイミーの幼馴染のジェリーの黄色いTシャツと赤いリュック。テーブルに置いてあるイチゴの赤さえも綺麗だと思った。

カリフォルニアの温かい光に包まれた風景は観ているこちら側も包み込まれそうで、うっとりしてしまった。映像の綺麗な映画はそれだけで幸せな気分にしてくれる。

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ひと夏のかけがえのない時間を描いた物語。

▼主な登場人物は5人。

画像1

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物語の舞台は1979年の夏、サンタバーバラ。

主人公のジェイミーは15歳の少年。反抗期に入り始めた息子がどんどん理解できなくなっていくことに不安を抱いた母ドロシアはジェイミーの身近な女性2人に「息子を助けてやってほしい。」と頼む。

この母ドロシアを演じるのはアネット・ベニング。『アメリカン・ビューティ』で有名な女優さん。同作ではアカデミー賞にもノミネートされました。

▼ガツンと衝撃を食らいます。名作『アメリカン・ビューティ』

母ドロシアの申し出があまりに突飛に思えましたけれども…。戸惑ったのは私だけでなく二人の女性も同じで、しかし戸惑いながらも二人はこの申し出を受けるのです。

この二人の女性が風変わりでぶっ飛んでます。でも魅力的。

一人はジェリー。演じるのはエル・ファニング。

ジェイミーの幼馴染。ジェイミーと同じく幼い頃に両親は離婚。母は再婚して新しい父との間に障害を持つ妹も生まれた。

家庭には居づらいらしく夜になるとジェイミーの部屋に忍び込み、一緒のベッドで眠る。ただし、体の関係は一切なし。ジェリー曰く「セックスすると友情は終わりよ。」

いくらなんでもそれは酷すぎるのではないか…。とジェイミーが気の毒になりました。

あんなかわいい子が隣に寝ていて、15歳の健康な少年が平常心を保つって無理じゃない?ジェイミーはジェリーに気があるらしく、そっと太ももに手を伸ばしたりもするのだけれど、はっきり「NO」と言われてしまうのです…。

体の関係抜きで、信頼できる安らげる関係があるというのはわからなくもないけれど、ジェイミーには恋心があるからね。

もう一人はアビー。真っ赤な髪をしたパンクなお姉さん。ドロシア宅に下宿中。

子宮がんの治療をしていて、悲しいことがあると大音量でパンクな 音楽をかけて踊り狂う姿が印象的。大人の女性らしく、ジェイミーに女性の扱いやモテテクを教えていく。

▼アビーとジェリー

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物語はドロシアとジェイミー親子、アビーとジュリー、そして下宿人のウィリアム(元ヒッピー)、5人によって進んでいきます。何か大きな事件が起こるわけではなく、小さなエピソードが重ねられることによって、5人のキャラクターが浮かび上がってくる。

欠点だらけで決してほめられるような生き方はしていないのかもしれない。あっちこっちにぶつかって、転びまくってる。でもその姿に愛おしさを感じさせられた。

それぞれの生い立ちが当時の写真やニュース映像と合わせて語られるところが好きでした。全員がバラバラのバックグラウンドを持って生きている。

そう、ドロシアとジェイミーは親子であるけれども、実は生まれ育った環境や生きてきた人生は別の物なんだよね。親子だから重なってる部分はもちろんあるけれど、ジェイミーはドロシアが40歳で産んだ子供。生まれ育った時代は大きくずれる。ここまでバックグラウンドが異なれば、親子だから分かり合えるというのはまるで幻想なんだと思った。

この物語はバラバラに生きてきた人たちがひと夏だけ一カ所に集まって、過ごした密な時間の物語。重なったのはこの時だけで、その後また人生はバラバラにわかれていく。ラストで語られるナレーションを合わせると切ない気持ちになった。

人生の一瞬が眩いほどに輝きを放つことがある。その後、二度と訪れることのない時間、場所、出会うことのない人であっても、忘れえぬひと時や経験が人生の中にはあるものだ。私の人生の中にも存在する「忘れえぬもの」や「こと」について、しばし想いを馳せた。

食卓での「生理」連呼、ジェリーの赤裸々すぎる初体験の告白、場違いなウィリアムの『カッコーの巣の上で』のネタバレ。呆れて言葉を失うほどのくだらない喧嘩の理由。息子を理解するために、ドロシアがパンクに乗せて躍るぎこちないダンス。

1つ1つは他人から見ればバカバカしくてドン引きするようなことであっても、当事者にとっては懐かしくも愛おしい思い出として人生を彩っているのだろう。

▼ネコもいい味出してます。

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「ママは幸せ?」

「幸せかどうかなんて聞かないの。考えればウツになるわ。」

そんな言葉をさらっと笑いながら言うドロシア。その問いを母に向かって発すること自体、息子が母は幸せではない、と思っているということでもあるし、母の答えも「幸せではない。」と答えているのと同じことのような気がする。

ドロシアはジェイミーが何も話してくれず理解できない、と悩んでいるけれども、ドロシアが何も話してくれないことに苛立っているのはジェイミーも同じだったのよね。思い合っているのにすれ違ってしまう親子。

クライマックスで二人が交わした親子の会話。

ドロシアはアビーやジェイミーを介することなく、真正面からジェイミーに本心をぶちまける。

「幸せになってほしい。自分のようにはなってほしくない。」

母親の言葉にはっとしたように表情が素直になるジェイミーが印象的だった。そう、ジェイミーは母に本音を話してほしかったのだね。しかしこれもまた、ひと夏だけのこと。その後ずっと母が本音で話してくれたかというと、そうでもなかったらしい。でもその一瞬の出来事で、ジェイミーには母の愛が伝わったのだと思う。

戦争中に女性のパイロット候補生がいたことが驚きなのだけれど、ラストシーンの空を飛ぶグロリアの笑顔が最高だった。

人生は思い通りにいかない。誰しもが子供の頃に願ったような人生を歩んでいけるわけじゃない。けれど、それは不幸なことばかりではなく、思いがけない幸せも人生には用意されている、そんな風に思いました。

サンタバーバラの町を出たがっていたアビーが、町に残ったように。

子供を産めないと言われたアビーが2人の男の子の母になったように。

離婚してからずっと一人だったドロシアがパートナーに巡り合えたように。

若い頃、夢破れて飛べなかった空を老人になってから飛べたように。

思うようにいかない人生であっても、その先には想像もつかなかった未来が待っていたりするのかもしれない。と思いました。

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その他、気になったこと。

森の中に佇むエル・ファニングは人間じゃないみたいに可愛かった。

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↑天使のような美少女にこれだけ密着されてもキスさえも許してもらえない生殺しジェイミー…なのです。

印象に残った言葉。

「親しすぎてセックスができない。」

「説明のつかないキスはしちゃいけない。」

「セックスさせてくれない女と一緒に寝ちゃ、自信を無くすだけだよ。」

「時間が経てば辛いことも薄れる。でもまた辛くなるけど。」

などなど。

やたらセックスって言ってたのと、エル・ファニングの口から「中出し」という言葉が発せられたことが衝撃的でしたw( ̄▽ ̄;)wワオッ!!

本作ではエルはポロリはしてませんが、『ネオン・デーモン』同様、下着姿は観られます。

▼エル・ファニングがモデル志望の美少女を演じます。

エル・ファニングは現在劇場公開中の『夜に生きる』にも出演していたのですね。

なんとなくスルーしちゃったけど、エルが出てるんなら観てみようかな、と思って時間を調べたらイマイチの時間しかなくて諦めたのでした。映画は公開直後に行かないといい時間が無くなりますね。

以上、『20センチュリー・ウーマン』の感想でした。

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