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『ガール・オン・ザ・トレイン』/空白の記憶の中で、いったい何が起きたのか?エミリー・ブラント主演のサスペンス。

ヒロイン・レイチェルを演じるエミリー・ブラントが好きなので、映画の予告を見て気になっていました。『マイ・ベスト・フレンド』と悩んだ挙句、こちらを観てきました。

『ガール・オン・ザ・トレイン』

監督・出演・製作 基本情報

監督:テイト・テイラー
出演:エミリー・ブラント/レベッカ・ファーガソン/ヘイリー・ベネット
製作:2016年/アメリカ

ざっとあらすじ。

ニューヨークに向かう電車の車窓から見える「理想的な夫婦」

「完璧な愛情」で結ばれた幸せそうな夫婦の姿にかつての自分を重ねるレイチェル。二人の笑い声、名前、職業まで想像してしまうほど、特別な思い入れを持っていた。そのすぐ近くには、かつて自分が夫と暮らした家がある。

ある朝、レイチェルは理想的な夫婦であるはずの妻が別の男と抱き合っている様子を目撃してしまう。そしてその日の夜、妻は姿を消した。

翌朝、レイチェルは怪我をしている状態で目を覚ます。昨夜の記憶はなく、失踪した妻の家の付近でレイチェルが目撃されていた。

記憶をなくした空白の時間に、一体に何があったのか?

3人の美しい女性が登場します。

ヒロインのレイチェル。

演じるのは『オール・ユー・ニード・イズ・キル』でトム・クルーズの相手役をつとめたエミリー・ブラント。

レイチェルの元夫の現在の妻アナ

演じるのは『ミッション・インポッシブル:ローグ・ネイション』で(またしても)トム・クルーズの相手役をつとめたレベッカ・ファーガソン。

そして「理想の夫婦」の妻であるメガン

こちらは『ラブソングができるまで』でちょっと不思議な歌姫コーラを演じたヘイリー・ベネット。

ヒュー・グラントとドリュー・バリモアが共演したラブコメディ『ラブソングができるまで』については以下をどうぞ。

>>『ラブソングができるまで』/ヒュー・グラントが歌って踊る。(ネタバレ)

それぞれタイプの違う美人さんです。

一見、ごく普通の幸せそうに見える女性たちの抱える心の闇が、徐々に明らかにされてゆく。映画の雰囲気としては『ゴーン・ガール』に似たものを感じました。

レイチェルも一見すると、ごくごく普通の勤め人に見えるのですよね。車窓の景色を眺めながらあれこれ想像するところも、空想好きの人ならする人いるだろうし。

ですが、しばらく見ていると、ちょっと実はとても不安定な女性だと言うことがわかってくる。

作品は3人の視点がくるくる変わり、時間軸も前後しつつ、妄想なのか夢なのかわからないようなフラッシュバックが挿入されながら進んでゆくという、ちょっと複雑な展開。暗く不安定な映像はレイチェルの内面と、幸せそのものに見えたアナとメガンの抱える暗い闇も感じさせ、作品全体に満ちる不穏な雰囲気は私の好み。傷ついて壊れてしまった女性の悲しさや苦しみを演じたエミリー・ブラントの演技もよかったと思います^^

犯人ばれてからのラストのオチが好き。

では以下はネタバレしております。

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感想(ネタバレあり)

それぞれの女性たちが抱える闇

ごくごく普通の女性に見えたレイチェル。

離婚でひどく傷ついており、アルコール溺れ、離婚した元夫のトムと、その妻アナにストーカーのような行為を繰り返している。夫妻のフェイスブックを覗き見て、トムに何度も電話やメールを送りつけ、アナにも無言電話を繰り返し、自宅に侵入して二人の子どもである赤ん坊を「誘拐未遂」したことも…。

きっちりした格好で朝夕電車に乗ってるから、会社に通勤してるんだと思ったら、そうじゃない。

アルコールが原因で、すでに解雇されており、居候させてもらっている友人にはそれを隠して、会社に行くふりしてただ電車に乗っていただけだった。ニューヨークの街を酔っぱらって彷徨っているだけ。

自身の不妊をきっかけに夫婦仲がこじれ、他の女と不倫されて子供を作られ、アルコール依存に…。

それは気の毒だなぁと思ったのですが、どうやら結婚している時からお酒に溺れており、トムが会社をクビになるきっかけを作ったり、ゴルフクラブを振り回して暴れたりと、かなりとんでもない奥さんだったらしい。しかも酔っていて覚えてないという(; ̄Д ̄)

酒を飲んでは記憶をなくし、何も覚えていないレイチェルはトムから自分が酔っぱらって何をしたのか、どれほど迷惑をかけたかを聞かされ、ひどく自己嫌悪に陥りながらも、同じことを繰り返してしまうという現実に打ちのめされていたのです…。

ある朝、理想の夫婦である妻メガンが不倫をしている現場を目撃してしまい、自分の大切にしていたものが壊されたように感じ、激しい怒りがわき上がり、情緒不安定になったレイチェルは酒を飲み、彼女に家に向かう。

そこで「何か」があった。レイチェルの体にはまったく身に覚えのない怪我と血。

元々、メガンの家の近くに住む、元夫とその妻の周辺にたびたび姿を現していたレイチェルはメガン失踪当日にも付近で目撃されており、警察からも疑われ、事情を聞かれる。

が、酔っていたので覚えていない。やがてメガンは遺体となって発見される。しかもそのおなかには赤ちゃんが…。おなかの子の父親は?

闇を抱えていたのはレイチェルだけじゃなかった。

失踪したメガンにも秘密があった。

心に病み、セラピストの治療を受けていた。

円満そうに見えたスコットとの夫婦関係だが、実はスコットは嫉妬深く、常にメガンを監視し、束縛するモラハラ男だったのだ。そしてその過去にも秘密があった。

そのメガンはアナの家で子守として働いており、アナはアナで夫の元妻レイチェルの存在に神経過敏になっていた。元妻と一緒に暮らしていた家で、元妻が選んだインテリアに囲まれて生活する。そこに執拗な元妻からの嫌がらせ。

自身の不倫略奪の結果なので、自業自得とも言えますがアナのストレスも相当なものだったでしょう。

3人の心を病んだ女たちの過去と現在が明かされてゆき、メガン失踪の謎が明らかになってゆきます。

レイチェルがとにかく痛々しかった。

常に泥酔して記憶をすぐになくしてしまう女、別れた元夫と妻にストーカーまがいのことを繰り返す女。

親身になってくれていた友人にも愛想を尽かされ、誰にも必要とされず、信じてもらえず。

自身の疑いを晴らそうとメガンの夫スコットに近づくも、結果としてさらにそれが状況を悪化させてしまう。

もしかしたら、自分がメガンを殺したのかもしれない。

そんな不安に駆られながら、ますます追い詰められていく様子は本当に痛々しかった。

明らかになる真相、そして決別と出発。

ある日、レイチェルはトムの元上司の奥さんマーサに遭遇する。かつて酔った自分が彼女にひどい態度を取ったせいで、トムは会社をクビになったのだ。

その時のことを謝ろうとしたのですが、マーサは「あなたは何もしていない。」という。トムが会社を首になったのも、女癖が悪すぎたから。

そう、かつて酔っぱらって記憶をなくすたびに、トムは彼女が何をしたかを話して聞かせたけれど、それは嘘。

マーサに失礼な態度など取っていないし、ゴルフクラブで暴れたのも自分じゃなくてトム(゚Д゚)ゴルァ!!

トムはレイチェルに嘘を吹き込み、信じ込ませ、自分は価値のない人間だと思いこませていたのです。

こうなってくると、そもそもレイチェルがアルコールに溺れるようになったのも、トムが言葉巧みにそうなるように追い込んでいったんじゃないかなって思う。

失われていた記憶がよみがえり、あの日、メガンはトムの車に乗り込んで去っていったことを思いだしたレイチェルはトムと対決することになる。

とにかく、トムがクズすぎるゴ━━━(#゚Д゚)=○)`Д)、;’.・━━━ルァ!!

嘘をついてレイチェルと追いつめて離婚、その後不倫相手と再婚し、さらに子守のメガンと不倫。

その理由はアナが赤ちゃんにかかりきりだから…。いや、当たり前だろう。母親なんだから。その子はお前の子どもじゃないか…。

奥さんが妊娠出産で大変な時に男が浮気するっていうのは、日本だけの問題ではないのだなぁ…。

メガンの死の真相に気付いたレイチェルはトムと対峙することになるのだけど、トムは決して非を認めず、開き直る。

離婚したのはレイチェルのせい、浮気したのは、アナのせい。なんとメガン殺したものレイチェルのせい。すべてが人のせい。

「あの日、あの場所にお前がいたからメガンは死んだ。ある意味お前が殺したとも言える。」

との言葉には唖然とさせられました。

でも、レイチェルはもう今までのレイチェルではなかった。

まっすぐにトムを見つめて「私のせいではない。」とはっきりと言い切る。

レイチェルとアナ。

虐げられてきた女性の二人の取った行動には、スカッとするものがあります。

ゲス男に鉄槌を( ̄ー ̄)ニヤリッ

特にアナのトドメの刺し方は、トムへの恨みと怒りが存分に込められていました。

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 まとめ。

スコットもトムも、パッと見はいい夫のように見えて正体はサイテーのクズなのですよね。話が進むにつれて、クズっぷりが明らかにされてゆき、むかむかして仕方なかった。特にトムね。

女性に人格を認めず、自分を楽しませるための道具だとしか思ってないのです。メガンは過去にも男性に虐げられた経験があり、それがトラウマにもなっています。

クズ男に鉄槌が下されてよかったです。このままレイチェルが捕まってしまうのかと思ったけど、そうならなくてよかった。

クライマックスのアナの氷のような冷たさを感じさせる無表情、ぞっとするほど美しかったです。夫を完全に見限った顔。冷ややかでありながら、その奥に強い怒りが渦巻いている。無表情だからこそ、怒りが際立って見え、あの最後の行動にも納得。

不穏な空気に彩られた本作でしたが、ラストシーンのレイチェルのモノローグ。

これからは違う車両に乗り、外を見ずに前だけを見る。

ようやく過去の呪縛から解き放たれて、前向きな表情を見せる姿のほっとしたのでありました。

その他、気になったことなど。

出演シーン少なかったけど、レイチェルが真相に気付くきっかけを作るマーサを演じたのはリサ・クドロー。なつかしー。

監督のテイト・テイラーはその他『ウィンターズ・ボーン』や『ヘルプ~心がつなぐストーリー』を監督しています。

どちらも好きな作品で、今回この映画を観ようと思ったもう一つの理由。

二つとも、厳しい環境に生きる女性が出てきますが、女性の強さを感じさせてくれる作品です。その点は本作とも共通するものがありますね。

ジェニファー・ローレンスが貧困の中、家族と守るために戦う少女を演じています。

人種差別というシリアスなテーマを扱いながら、心がほっとするような温かさに満ちた作品です。エマ・ストーン、ジェシカ・チャスティン、ブライス・ダラス・ハワードという3人の女優さんの共演も見どころ。

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