現在、ブログ記事の移転修正を行っております。そのためデザインの崩れが発生しております。

『マーニー』/赤い恐怖の理由とは?ヒッチコックが描く心理ミステリー。

こんにちは、あかりです。

本日の映画はアルフレッド・ヒッチコック監督によるサスペンス映画「マーニー」です。

ヒッチコック作品はいつか全作品を制覇できたらなぁという野望を抱きながら、少しずつ観ています。。

いつか…、いつかね。ヒッチコック作品は数が多いので、気長に挑戦します^^;

『マーニー』

監督・出演・製作等基本情報

監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演:ティッピ・ヘドレン/ショーン・コネリー
製作:1964年/アメリカ

「マーニー」のあらすじをざっと紹介

主人公マーニー(ティッピ・ヘドレン)は、外見は美しいんですが、詐欺師で嘘つきで泥棒というとんでもない女…。

名前を偽って会社に入り込み優秀に仕事をこなして信用を得た頃、お金を盗んで姿を消すということを繰り返している。

会社経営者のマーク(ショーン・コネリー)は面接に来たマーニーが、かつて取引先で盗みを働いた女だと気づいたが、マーニーに惹かれていたマークは知らないフリをしてマーニーを雇うのだが…。

という、ストーリー。

マークを演じるのは『007』シリーズの初代ジェームズ・ボンドとして知られるショーン・コネリー。マーニーを演じるのはヒッチコックの代表作『鳥』でヒロインを演じたティッピ・ヘドレンです。

以下はいつものことながら、ネタバレです。

<スポンサーリンク>

感想(ネタバレあり)

緊迫感あふれる盗みのシーン

気付かないふりをして雇ってくれたとは想像もしていないマーニーはマークの会社でも盗みを働き、金庫から大金を盗んで逃げることになるわけですが…。

この金庫から大金を盗むシーンが緊迫感に溢れる名シーンなのです。

予め、金庫の暗証番号を調べておき、その暗証番号を使って金庫を開けようとするマーニーなのですが、そこで予期せぬ事態が起きるのです。

掃除のおばちゃんの登場です。

盗み仕事の真っ最中のマーニーと、真面目に仕事に取り組む掃除のおばさん。

互いの存在には気づいておらず、それぞれの「仕事」に没頭している。まさか近くに泥棒がいるとは知らずに、おばちゃんはどんどん掃除機を動かし、マーニーに近づいていく。

このままではマーニーは見つかってしまうのではないか?

早く、早くしないと!

そんなハラハラとさせられるシーンです。ヒッチコックらしい演出がひじょうに冴えていて、二人を別々に撮影するのではなくて、ワンカットで撮影しているんです。

画面の左側におばちゃん、右側にマーニー。劇中の二人は互いに気づいていないのに、観客だけは緊迫した状況がよく見えている…という感じ。

強く印象に残る名シーンです。

「そういう女を愛したのが僕の不運さ」

金を盗んだマーニーは姿を消しますが、マーニーに惚れているマークが追います。

マークはマーニーを執念で見つけ出し、なーんと、強引に結婚に持ち込んでしまうんです。執念深い!!ショーン・コネリーだからいいけど、演じているのがスティーブ・ブシェミだったら、ホラー映画になりますね(苦笑)

ヒロインのマーニーは盗癖以外にも問題がありまして…。

次から次へと嘘を重ね、嘘を守るためにさらに嘘を重ね、嘘がバレたら別の嘘をつき…。という病的な虚言癖も持っています。

精神的にも問題を抱えており、赤い色や雷に異常なほど怯え、男性に対しては病的な潔癖症。夫であるマークが求めても拒絶するばかり…。

そんな実に面倒な女マーニーなのですが、マークはマーニーに惚れ抜いておりまして…。

「そういう女を愛したのが僕の不運さ。」

と、さらっと申しておりました。マークのその言葉に偽りはなく、彼は精神的に不安定で、自殺未遂までしてしまうマーニーをなんとか救おうと尽力し続けるんです。

マーニーの過去に何があったのか?

正直なところ、ここまで書いてきたように、マーニーがとてもイヤな女で、いいところがひとつも見当たりません。どうしてマークがマーニーに惚れてしまったのか不明です(結局顔なのか?)。そんなわけでイマイチ乗り切れずに観ていたのですが、物語が進むにつれ、マーニーに同情せずにはいられない部分も描かれてきます。

マーニーは必死に母親の愛を求めているのですが、母はマーニーにそっけない。

盗んだ金は母に送金し、高価なプレゼントを贈り、なんとか母の関心を引こうとしているマーニーの姿は痛々しくもありました。

近所の子供はかわいがるのに、自分のことはかわいがってくれない母。マーニーは求めても得ることができない母の愛に飢えているのですが、マーニーに母はマーニーにきつい。いかに男が信用ならないか、男を求めるのは不潔なことだと吹き込んでゆく。

マーニーの男嫌いは母親に原因があるらしい。いわゆる「毒親」ってヤツかな。

幼いころに満たされなかった想いは、大人になっても消えなかったりするのよね。本人も無自覚のままに、子供の頃に受けた傷に苦しみ続けるの。

せっかく美しく生まれたのだから、その美貌を犯罪に使うんじゃなくて、もっと有効に生かせる人生があったかもしれないのに、ね。

与えられることのない母の愛を、必死に求めながら、赤い色に怯え続ける人生。夫に愛されていても、夫に触れられることは嫌悪と恐怖の対象でしかない。

マークはマーニーを救うために、マーニーの過去に何があったかを調べてゆきます。

そうして、たどり着いた真相…。

物語の終盤で、隠されていたマーニーの過去のトラウマが明らかになってゆきます。

幼かったマーニーに起こった悲しい出来事が明らかになり、マーニーの失っていた記憶が呼び起こされてゆく。そして、マーニーはまるで幼児のようになり、怯えて泣きじゃくり始めてしまう。

まるで何かに憑りつかれた様な、見事な変貌ぶりでした。

すごいなぁと思ったのは、さらにその先に、母と娘の和解があったこと。

どうして母親があれほどまでに男を憎むような発言をし続けたのか、それは娘にとっては虐待でしかないわけだけれど、そこに秘密がありました。

「セーターとあなたは残った。」

このセリフに、母の深い愛が初めて感じられました。

マーニーはマークとともに、新しい人生を歩んでゆけそうな、希望の残るラストです。

まとめ

ヒッチコックの名作に『白い恐怖』という作品がありますが、本作は『赤い恐怖』ですね。実際にビデオ発売された時の邦題は『マーニー/赤い恐怖』だったそうです。

ちなみに、いつもちょこっとだけ監督本人が出演しているのですが、今回も出演していました。

マーニーが宿泊していたホテルの客。ドアから出てきて、ちらっと顔をこちらに向けていました!あのぽっこりしたおなかとたまごみたいな顔、わかりやすい!

そんなヒッチコックはなんと、ヒロインのマーニーを演じたティッピ・ヘドレンにほれ込み、セクハラを繰り返していたのだとか。巨匠…。そんなことを…。

今だったら#Me Tooで告発されて、批判にさらされるところですが…。

ちなみに、『ワーキングガール』で知られるメラニー・グリフィスはティッピ・ヘドレンの娘です。(メラニーは綺麗な女優さんでしたが、今はすっかり整形?の影響で、顔が変わってしまっております…。)

『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』のダコタ・ジョンソンはメラニー・グリフィスの娘、ティッピの孫にあたるそうです。美人の遺伝子は確実に受け継がれている様子^^

コメントを残す