カンヌ映画祭監督賞受賞作品。
日本人女優の菊地凜子がアカデミー助演女優賞にノミネートされたことで、大きな話題を呼びました。当時、菊地さんは日本ではほぼ無名だったので、この作品で知った、という方も多いのではないでしょうか?(←私です(笑))
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バベル
監督・出演・製作 基本情報
監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
出演:ブラッド・ピット/ケイト・ブランシェット/役所広司/菊地凛子
製作:2007年/アメリカ
監督はアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ.
舌を噛みそうな名前の方ですが(←失礼)、『バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』『レヴェナント:蘇りし者』で二年連続のオスカーを獲得しました。
▽元バットマンがバードマンを演じます。
▽レオナルド・ディカプリオがとにかく寒そう!実話をもとにした極寒の地でのサバイバルを描きます。
両作品とも、嫌いではないのですが、手放しで好き!とは言いかねる作品…(;^_^A アセアセ・・・
イニャリトゥ監督の作品はちょっと難解なところがありますよね。深く考えるとキリがなくなりそうなので、私は流れに身を任せるようにしています^^;
本作で夫婦を演じたブラッド・ピットとケイト・ブランシェットは『ベンジャミン・バトン 数奇な運命』(監督:デヴィット・フィンチャー)でも共演しています。こっちは手放しに大好きな作品(*^-^)ニコ
『バベル』のあらすじ
モロッコの山道を走行中のバスに向けて放たれた一発の銃弾。その銃弾をきっかけにして大きく動き出す人々の人生が、4つの国を越え、4つの言語で語られていく。
- モロッコを旅行中のアメリカ人夫婦、リチャードとスーザン
- 東京に住む聾唖の少女、チエコ
- アメリカに暮らすメキシコ人の乳母、マリアと子供たち
- モロッコの幼い兄弟
時間軸のずれた4つの物語が、同時並行で進んでいく。しかし、その複雑な構成もも気にならないほどに映画に引き込まれ、あっというまの2時間半でした。
でも、なんだろうね。この映画の感想って書くのがとっても難しい。最後は涙まで流したのに、何に涙したのか、それを上手く言葉にできない。単に私の語彙力がないだけとも言えますが。イニャリトゥ監督の作品はいつも感想を言葉にしづらいのです。
感想(ネタバレあり)
タイトルの「バベル」の意味
旧約聖書の「バベルの塔」から来ています。
ずっと昔、言葉はひとつだった。
人間たちは神に近づきたくて、天に届くような高い塔を築く。神はその行いに怒り、言葉を乱して通じなくした。そんなお話です。
現在において世界は乱れ、すっかりバラバラです。世界各地では絶え間なく戦争が繰り返され、人々は殺し合いを続けている。人種差別や偏見も根強く、軽蔑し合い、憎悪しあっている。
同じ言語を話していてさえ、言葉が通じないこともある。どんなに言葉を尽くしても、伝わらない思いがある。人々はそんな現実を目の前にして無力感と絶望に苛まれ、孤独に震えながら生きている。
人と人がわかり合うことは、難しい。
伝えたい想いはそこにあるのに、言葉が足りない。言葉はいつも不完全で、想いに追いつくことはない。
むしろ言葉がジャマをすることもある。大好きな人に「大好きだよ」って、ただ、伝えたいだけなのに、それすらも伝えることは難しい。
本来はシンプルなはずの物事を、複雑にするのは人間で。思い込みで目を曇らせて、偏見で存在しない恐怖を作り出し、身勝手な敵意を生み出す。いつも愚かで、すぐに過ちを犯す。
***
この映画を観ていて、ひどくもどかしい思いがしました。
伝えたい思いが、ちっとも伝わらないから。伝わらなくて、イラだって、傷ついている人々の姿に、自分自身がかつて経験した「もどかしさ」が重なって、途中でちょっと辛くなりました。
でもね、この映画の最後にはちゃんと希望があるんです。
言葉を越えて、伝わる想いがある。孤独な心が触れ合うことがある。そんな、かすかな希望が胸に残ります。
とても印象的なセリフがありました。メキシコ人の乳母の言葉です。
「悪い人ではないけれど、愚かだったのよ」
細かい部分は忘れましたが、そんな感じのセリフです。
この映画の「そもそものきっかけになった一発の銃弾」は、悪意のないものだった。
けれど。
その銃弾は人を傷つけ、国際問題へと広がってゆく。
ある行為の結果、何か大切なものを失って、傷を負ったとしても、「悪意がなかった」は言い訳にはならないのです。人はその傷とともに、生きてゆかなくてはならない。そんなことを考えました。
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アカデミー助演女優賞にノミネート!菊地凜子さん
オスカーにもノミネートされた菊地凜子さんの演技は本当に素晴らしく、音のない世界で生きる少女の、圧倒的な孤独を見事に演じています。
ただ、まったく女子高生には見えないのはちょっと気になりますね。制服姿には違和感が…。海外の方には日本人は童顔に見えると聞くから、もしかしたら海外の人には違和感はなかったのかも(汗)
まあ、そこはさておき、菊地さんの出演シーンで特に印象的だったのがクラブのシーン。騒々しい音楽の流れる世界と、凛子の生きる無音の世界がくるくると切り替わるその演出は見事としかいいようがありませんでした。
以上、『バベル』の感想でした。
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