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『ザ・コンサルタント』/職業は会計士、しかしその正体は…。ベン・アフレック主演のアクション映画【ネタバレあり】

新宿ピカデリーにて鑑賞。劇場はほぼ満員でした。

ピカデリー系列の映画館は会員カードを作っておくと次回割引クーポンで1,200円で観られるところが好きでよく行きます。

『沈黙』とどちらにするか悩んだのですが、『沈黙』は予告観ただけで心がやられそうな雰囲気がびんびん感じられたので、腰が引けてしまい、『ザ・コンサルタント』を選びました。

ずっしり重い作品よりもアクション映画の爽快感に浸りたい気分だったのです。

結果的にはそれが大正解で想像以上に私好みの良作。しみじみと余韻に浸りながら帰宅の途についた。

ベン・アフレック演じる主人公がね、いかつくてごつくて無愛想で無表情なんだけど、なんだか可愛らしく微笑ましく感じてしまうシーンがちょいちょいあって(*’ー’*)ふふっ♪

ベンアフ最高!って思いました (*^-^)ニコ

予告はこんな感じ。


映画『ザ・コンサルタント』予告編

職業は会計士、しかしその正体は凄腕の殺し屋…。

表の顔と裏の顔を併せ持つ謎の会計士クリスチャン・ウルフ。

ただの会計士だと侮れば、いともたやすく返り討ちにされてしまう。

彼はなぜ会計士になったのか?

いかにして殺しの技術を身に付けたのか?

その目的は何なのか?

そんなお話です。

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『ザ・コンサルタント』

基本情報

監督:ギャビン・オコナー
出演:ベン・アフレック/アナ・ケンドリック/J.K.シモンズ
製作:2016年/アメリカ

監督は『ウォーリアー』のギャビン・オコナー。

ムキムキの男たちがトーナメント戦を戦い、その戦いの中で家族の絆を取り戻す物語。『ウォーリアー』絶賛オススメ!!

『イコライザー』『ジョン・ウィック』『ジェイソン・ボーン』のような、巨悪に一人で立ち向かってゆく孤独な殺し屋の爽快なアクションです。

殺し屋が主人公の映画ってけっこうありますよね。私は好きでけっこうみます。

▼昼はホームセンターの従業員、その正体は凄腕の殺し屋…。

▼犬を殺したら、その飼い主の正体は凄腕の殺し屋…。もうすぐ続編も公開!

▼娘を誘拐したら、その父親は元CIAでした。

会計士がなぜ殺し屋??とまったく結びつかない二つの職業(-_-;ウーン

鑑賞前は「付いていけるかな?」という一抹の不安を抱いていた。

しかしクリスチャンという人物の、一風変わった“クセ”や“言動”が丁寧にエピソードとして重ねられていて、いつの間にかクリスチャンに好感を持っている私がいました。

主人公のクリスチャン・ウルフを演じたのは『ゴーン・ガール』『アルゴ』のベン・アフレック。

俳優だけではなく監督としても評価が高く、また『グッドウィルハンディング』でマット・デイモンとともにアカデミー脚本賞を受賞しています。

彼の出演作は良作も多いですが、『デア・デビル』(!)なんかもあったし、イマイチ信用しきれずにいる(苦笑)

しかし。

本作は観てよかった!!

帰りの電車の中でしみじみと余韻に浸りました。

ざっとあらすじ。

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会計士クリスチャン・ウルフは片田舎で細々と会計士業務に従事する一方で、裏社会の財務事情に精通し、危険な犯罪組織からの会計依頼を受け、巨額の報酬を得ていた。

数字に天才的な才能を持ち、神経質で、完璧主義な風変わりな彼は1.5キロメートル離れた場所からも標的を正確に撃ち抜く射撃技術と素手で人を殺せる格闘技術を持つ。

ある電子機器企業から不正経理の調査依頼を受けたクリスチャンだったが、真相を突き止めようとしていたまさにその時、関係者が謎の死を遂げ調査は打ち切りになってしまう。

そしてクリスチャン自身と、不正を発見した経理担当者のデイナ・カミングス(アナ・ケンドリック/『ピッチ・パーフェクト』もまた命を狙われることになる…。

殺し屋だけではなく、財務省のレイモンド・キング捜査官(J.K.シモンズ/『セッション』で鬼教官を演じた人)と彼の命令を受けたメリーベス・メディナ(シンシア・アダイ・ロビンソン)の捜査の手もクリスチャンに伸びようとしていた。

というお話です。

その他、不正経理を行った会社社長ラマー・ブラックバーンにジョン・リスゴー、クリスチャンと追う殺し屋として ジョン・バーンサル(『ウォーキング・デッド』のショーン)が出演。

クリスチャンは「いかにして会計士になったのか?」「いかにして暗殺スキルを身に付けたのか?」

クリスチャンの過去が挿入されながら、彼がある陰謀に巻き込まれ殺し屋に命を狙われる一方で、財務省の捜査官が徐々に彼の正体に迫っていく、という、いくつかのストーリーが絡み合いながら進んでゆき、ラストでそれぞれのストーリーが重なった時は心がふわっと浮き上がるような心地よい感覚に覚えました。

まったく泣くような作品ではないのですが、私の心には何か触れてくるものがあったようで。終盤の「あるシーン」で、ちょっとうるうるっと来てしまった(笑)

以下はネタバレしています。

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感想(ネタバレあり)

クリスチャンの過去。

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クリスチャンには生まれながら「高機能自閉症」という障害がある。

音や刺激に敏感で、こだわりが強く、会話の細かいニュアンスやその場の空気を読むことが苦手で、一般的な社会生活を営むのは困難が大きかったが、その一方で数学には天才的な能力を発揮するなど、突出した部分も。

陸軍大佐であるクリスチャンの父は「優しくない世界で生き抜いてゆく術」を超スパルタ方式で徹底的に教え込んでゆく。

クリスチャンの壮絶な子供時代に胸を痛めつつ、不器用な彼のコミュニケーションがちぐはぐでつい笑みが浮かんでしまうこともあった。

無愛想で物の言い方がストレートすぎて「不躾」な部分もあるけれど、経営が行き詰まりかけている農場経営者の老夫婦を、法の合間を塗って助ける方法を提案してみせたり。しかし老夫婦に感謝されてもニコリとも笑わない。

物事の手順やモノの配置にも徹底的にこだわりがあり、食事をするときも食器の位置をこまかく直しているのが印象的でした。『イコライザー』にもそんなシーンがあったかな。

あと、手の指に「フッ、フッ。」と息を吐きかけるクセ。これは可愛らしかった。(あんなにゴツイのに(笑))

普段は無愛想&寡黙でありながら、数字について語るとき、芸術について語るとき。

「好きなもの」について熱く語るときは饒舌になり、楽しくてたまらないと言ったクリスのほんのりとした笑顔がなんだか微笑ましく思えた。

場の空気を読んだり「言葉のあや」の微妙な意味合いを理解することは難しくても、「こういう時はこう行動すべき。」とパターン化して覚えているんだね。

デイナが会話の中できょとんとしてしまった時は「冗談だよ。」って返す。

風変わりだけれど「会計士」として社会生活を営んでゆけるようになるまで、相当な苦労と努力を重ねてきたのだろう。

そのストレスから解放されるように、静かなクラシックの音楽に身を委ねながら、ルノワールやポロックの絵を眺めていたのが印象的でした。

デイナとの関係

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「恋」にも発展しそうな、近しい雰囲気が二人の間に流れるものの、恋愛関係にはならなかったのもよかったな。

デイナの方がまんざらでもなく、いい雰囲気になりそうだったのに、クリスがぶち壊しにしてしまうのもなんだか可愛らしかった。

「君は称賛に値する。」

クリスチャンがメッセージを残してそっとデイナの元を去る時、彼女の寝顔をドアの隙間から見つめ続けるシーン。ドアを閉めながら、そのドアの僅かな隙間から彼女が見えなくなるまで目を離さないところ、とても好きでした。

予想外の涙

とあるシーンでは自分でも全くの想定外の涙がうるうるっと出てきました

「会計士の助手」の正体が明らかになる瞬間。

そして、その人物の笑顔を見た時。

予想外に涙が出てしまいました。

その人は30年も他者と会話をすることができず、一般的な社会生活を営むこともできず、一見しただけでは近寄りがたい。しかし彼女は超ハイスペックなパソコンを使いこなし、パソコンを通じたチャットで会話をすることができる。

あぁ、あの電話の主は彼女だったんだ…。

生きづらさを抱えた人であっても、こんな風に居場所が見つけられたこと。

そういう場所を与えてあげたお父さんの愛もすてきだなぁって思った。(しみじみ)

現実ではなかなか難しい部分もあるとは思いますが、人格や能力に偏りがあって、一般的な社会生活を営むことが困難であっても、秀でた「何か」を生かしながら、生きて行ける。そんな社会にできたらいいなぁ、と思いました。

私自身もコミュニケーションは苦手で。子供の頃から人付き合いがスムーズにできないので、そういった部分が反応してしまったのかも(;^_^A アセアセ・・・

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それから弟くんとの再会も。

兄弟で殺し合いか!と思ったら、そうはならなかった。

弟は兄を探していて、兄は弟を危険に巻き込まないために姿を見せなかった。

ひとしきり殴り合った二人は10年の時を超えて兄弟の絆を確認し合う。男同士って殴り合いの末に和解するっていうのが王道パターンね(*^-^)ニコ

『ウォーリア―』もそうだったね。

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キング捜査官とクリスチャンの因縁。キング捜査官とメディナの関係。どのエピソードも印象深く、話に深みを持たせていましたね。

そしてデイナへのプレゼント。

このプレゼントは二人で交わした会話の中に登場した『ポーカーをする犬』(カシアス・マーセラス・クーリッジ作)の下に、ジャクソン・ポロックの絵を隠したもの。

ポロックは20世紀を代表するアメリカの画家で彼の絵はクリスチャンのトレーラーハウスに飾られていました。

それにしても『ポーカーする犬』は破かれてしまいましたが、あれは偽物ってことでいいんでしょうかね^^;

クリスチャンが犯罪組織の会計業務を請け負って得た巨額の金を自分のような子供たちの支援施設に寄付しているなど、やや「出来過ぎ」とも思えますが。

それでも前半に散りばめられていた断片がパズルのようにぴったりハマって、心地いいラストでした。

あ、あまり触れなかったけれど、メディナが小さな手がかりを辿って行くことでクリスチャンに辿りつく過程も見ごたえあり。

当初はキングがぐいぐいメディナを脅してたからどうなるかと思ったけど、まるで師弟のように受け継がれてゆくものがあるのもいいなって思った。クリスチャンとフランシスの関係もね(*^-^)ニコ

『ジェイソン・ボーン』のような派手なカーチェイスや爆破シーンはありませんが、クリスチャンの特異なキャラは私を惹きつける魅力が十分に溢れていて、鑑賞後の後味がとてもよかったです。なかなかお気に入りの一作となりました。

まだまだ続編がありそう~な雰囲気ですので、続報を楽しみに待ちたいと思います。

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その他気になったこと。

ソロモン・グランディ

調べて見ると、マザー・グースの童謡らしい。メロディ付き。


OD03-12.マザー・グースのうた – ソロモン・グランディ

射撃練習の標的の顔がかわいい。

クリスチャンがライフル射撃の練習をするとき、なぜかメロン?に顔を描くのよね。で、それを標的にして撃つ。それがいかつくて無表情な風貌から想像しにくい可愛らしさなので笑ってしまった。

15年分の帳簿をたった一晩で。

数字に天才的な才能を持つクリスチャンは、15年もの長期間の帳簿をたった一晩で精査。

実は私は簿記が好きで、クリスチャンとはレベルは違うけれど合わない謎の数字を追い求めるのは大好き。その数字がどこから来てどこに流れてゆくのか、わかった時は感動ものだよなぁと、少し共感できる部分があった。

アナ・ケンドリックが想像以上に小柄だった。

今回、ベン・アフレックと並ぶと子供みたいに小さく見えてびっくりした。あれ、こんなに小さかったっけ??って。それにしてもデイナはあの部屋のあのまま住む気かね。思いっきり事故物件ですけど…。

アナ・ケンドリックはいつも『お買いもの中毒な私!』のアイラ・フィッシャーと混同してしまう。似てない?

以上、『ザ・コンサルタント』の感想でした。

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