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『クラッシュ』/きっと、ぶつかり合ってこそ生まれてくるものがある。

第78回アカデミー賞作品賞を受賞した作品です。

大好きな作品で何度か繰り返し観ているのですが、最初に観たのは今からもう10年以上前の話です。

初めてこの映画を観た時は、「すごい映画に出会ってしまった。」と、鑑賞後、しばし放心状態になってしまいました。

『クラッシュ』

監督・出演・製作 基本情報

監督:ポール・ハギス
出演:ドン・チードル/マット・ディロン/サンドラ・ブロック/ライアン・フィリップ
製作:2004年/アメリカ

あらすじ

ロスのハイウェイで起きた交通事故をきっかけに、さまざまな人種、階層、職業の人々の人生が交差する人間ドラマ。人間の怒りや憎悪、孤独や悲しみ、そして生きる喜びや救いを描いた群像劇。

感想(ややネタバレあり)

黒人だから、ヒスパニックだから、イラク人だから、アジア人だから…。

人間が持つ差別意識がまざまざと描かれています。自由の国であるはずのアメリカが抱える、とても暗い部分。

銃があふれていて、常に命の危険と隣り合わせになっており、たった5歳の少女が銃声に怯える現実…。日本に生まれ育った私には想像しがたい世界です。

自分と違うものに対する、警戒感があるんでしょうね。

人と人が真正面から向き合うことは大変です。

だから最初にレッテルを貼って「こうだ」と決め付けてしまった方がラク。決め付けて見下したり、反発したりする方がラク。

この作品が素晴らしいなって思うのは人間を表層で判断する差別を扱っていながら、人間の描き方がとても重層的なことです。

  • 差別主義者の警察官(マット・ディロン)が黒人の女性を命がけで助け出すシーン。
  • 黒人演出家が同じ黒人の車泥棒に言う言葉。
  • 一見良識的な警官(ライアン・フィリップ)がとっさに取った行動。

人間というものは一筋縄ではいかない存在。

だからこそ、ぶつかり合って、触れ合わなくては「絆」は生まれない。

言葉にしなければ伝わらないこと、言葉にしても伝わらないことがある。時には誤解して傷付け合うこともあって、人と人が付き合っていくのは困難を伴うことも多い。しかしやっぱり人間の「暖かさ」が、救いになり、孤独から救ってくれることも多いはず。

サンドラ・ブロックがそれまで快く思っていなかった家政婦と抱き合うシーンも素晴らしいし、「透明マント」の親子愛や、「天使」のエピソードとその真相もいい。ひとつひとつのエピソードが心に染みてくる。素晴らしい言葉や場面にたくさん出会える映画です。

群像劇ということで登場人物が多いのですが、とても上手く整理されていて最後まで観たらびしっとつながります。そしてドン・チードルやライアン・フィリップの今後など、気になる部分も残しつつ、それがまた好い余韻を残しています。とにかく脚本が素晴らしいんです(*^-^)ニコ

ぜひぜひ、多くの人に観て欲しい作品です。

以上、『クラッシュ』の感想でした。

監督・脚本はポール・ハギス。

他にも『ミリオンダラー・ベイビー』『007カジノロワイヤル』『父親たちの星条旗』などの脚本を手がけています。

『ミリオンダラー・ベイビー』はこの作品の前年にアカデミー賞作品賞を受賞しており、受賞はなりませんでしたが、ハギスは脚色賞にノミネートされました。(同作の監督はクリント・イーストウッド)

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