本日の映画は『ファイナル・アワーズ』隕石が地球に激突して、人類の滅亡が迫っている。残された時間は12時間。
その時、人はどう行動するのか?そんなお話です
『ファイナル・アワーズ』
監督・出演・製作 基本情報
監督:ザック・ヒルディッチ
出演:ネイサン・フィリップス/アンガーリー・ライス
製作:2013年/オーストラリア
人類滅亡の危機が迫っていても、石油採掘員が命を犠牲にして隕石の軌道を変えてくれたり(※『アルマゲドン』)
老宇宙飛行士が宇宙船ごと突っ込んでいって隕石を破壊してくれて…(※『ディープインパクト』)、
最終的に人類は救われる…。
ということは決してありません。
隕石が衝突したヨーロッパはすでに消滅し、衝撃波は世界を飲み込みながら、主人公のいるアメリカに到達しようとしており、残された時間は12時間。
そのたった12時間で、主人公はかけがえのない出会いと経験をして、本当に大切なものに気付く、というストーリー。Netflixで鑑賞しました。
自分だったら、どうするのだろうか?そんなことをついつい考えてしまいそうになる映画です。
以下は完全にネタバレ。
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感想(ネタバレあり)
人類滅亡まであと12時間
主人公はジェームズ。過去は詳細に語られませんが、風貌からしてタトゥーだらけでチンピラっぽい。決して品行方正な人間ではないだろうな、という雰囲気があります。
彼女が二人もいるのですよ。
二人目の彼女が出てきたときは「え??」って思いました。
出典:These Final Hours (2013) – IMDb
ジェームズ世界滅亡が迫りつつある時、一人目の彼女ゾーイと海辺の家で抱き合う。
ドラッグと酒で正気を失ったまま最後の時迎えたいと考えるジェームズ。
寄り添って最後の時を迎えたいと考えるゾーイ。
二人の考え方は重ならず、ジェームズはドラッグパーティーに行こうとするのだけれど、ゾーイは行きたがらないし、酒もドラッグにも手を出そうとしない。
しかも、この状況でゾーイは妊娠が発覚したのだと言う。
「どっちかしら。」
決して生まれてくることはないわが子について語るゾーイに居たたまれなくなって、ジェームズは彼女を置き去りにして、パーティーに向かう。
ひ、ひどいΣ( ̄ロ ̄|||)
ゾーイを置き去りにしたジェームズは一人で車を走らせる。
外の世界はどうなっているか、というと。
ひたすら祈りを捧げる人たちもいれば、やはり「正気ではいられなかった」人もいるわけ。
ナタを持って、道行く人に片っ端から襲い掛かる殺人鬼と化した男。
略奪、暴力。そして、自ら命を絶った人々の死体があちこちに転がっている。
混乱した状況の中、ジェームズは一人の少女が男たちに襲われようとしているところに遭遇。そのまま見てみぬふりをしようとしたのだけれど、父を呼び続け、助けを求める少女を放置することはできず、ジェームズはロリ男たちから少女を救い出す。
少女の名前はローズ。
親戚の家に向かう途中で、父とはぐれてしまったのだという。ローズに父の元に送り届けて欲しいと懇願され、そのままローズ一人を残しておけないジェームズは渋々ながら父親を探そうとするが、ガソリンも残りわずか…。
さて、どうしようか。
姉のステイシーに託そうと家を訪ねれば、すでに姉は子供たちを殺して自殺した後。
図書館で見かけた警官にローズを託そうとすれば、彼もまさに一家心中しようとているところ。
警官は「罪深い父親を許してほしい。」と見ず知らずのジェームズに許しを請い、ジェームズは言う。「許す。」と答える。ジェームズに許されても何の意味はないとわかっていながら思わずすがらずにはいられないほど、父親は罪悪感に潰されそうになっている。
親が子供を殺すって、想像を絶する苦しみだろうと思う。
けれど苦しんで死ぬぐらいなら、いっそこの手で…って思うのも親の愛の形…。
死はすぐそこに迫り、その死がとても苦しみに満ちたものかもしれないという状況で、それでもなお、最後まで生きろというのは酷すぎる。
「家族みんなで逝きたい。」こういう決断をする人が出てくるのは当然のことで責める気にはならない。
で、当初行く予定だったパーティー会場にとりあえず向かう、と、そこは酒池肉林の乱○パーティーノ( ̄0 ̄;)\オー!!ノー!!!!
出典:These Final Hours (2013) – IMDb
ドラッグと酒でトンじゃってる人たちが入り乱れて、ものすごいことになっていたのです…。もちろんポロリもあります。っていうか、そこらじゅうでポロリしてます。
ネットフリックスで「大人向け」という表示があったので、何だろう?と思ったのですが、このパーティーシーンのせいだったのですね。
で、そこにはもう一人の彼女ヴィッキーがいました。うーん。美人でスタイルはいいのですが、おつむはイマイチ。さらにヴィッキーの兄は緑のモヒカン頭で、妹に輪をかけておつむがイマイチ。
あれやこれやとありまして、ジェームズは、ここは自分のいるべき場所ではないと、気づく。
マンディ・ママ
ここで強烈なキャラが登場する。件のパーティーの参加者の女性で、名前も出てきませんが、この映画の中で、一番強烈な印象を残す。
ローズを見た瞬間に、自分の娘マンディだと思い込んでしまう。
すでにドラッグをやってるものあるけど、パッと見て目がイっちゃってて「普通」じゃないってわかる。
出典:These Final Hours (2013) – IMDb
演じているのは『プリデスティネーション』で難しい役どころを演じたサラ・スヌーク。この映画大好きなんですよ!だから、サラに気づいた時はちょっとテンションあがりました。
いったんは追い払われるものの、ジェームズがヴィッキーと××するために消えて、ローズが一人きりになったスキを狙って、再び接近してくるマンディ・ママ。なんと水の中を目を見開いて、ぐんぐんローズ目がけて泳いでくる。
「マンディ~!」
おぉぉ~、すごい迫力…(((( ;゚д゚)))
こ、こわい。このシーンだけホラーっぽい。
「私はマンディじゃない!」って言ってもまったく無問題。彼女にとってローズはマンディ。
詳細はわからないんだけど、どうやら本物のマンディは死んでしまったらしい。彼女は彼女で色々あって、こんなになっちゃったんだなぁと思うと切なかったなぁ。(その後、バンされる。)
最後の瞬間を誰と一緒に迎えるか。
マンディ・ママに怪しげな薬を飲まされて、ヤバい状況のローズを連れて、ジェームズは自分の母の家へ。
ここでも多くは語られないんだけど、どうやら母親とは疎遠だったらしく、ちょっとぎくしゃくした雰囲気。ただ、この母が凛とした人でね、かっこいいんです。
一人で黙々とパズルをしてる。取り乱すことなく、最後の時を一人で迎えようとしている。
母が姉を訪ねて会えなかった話をするのだけど、ジェームズは「姉は出て行った。」と嘘をつく。それが嘘だって、きっと母親も気づいているんだけど、何も言わずに受け入れる。そしてローズを父親の元に送り届けたいというジェームズに驚くけれど、静かに送り出してくれる。
これが今生の別れになるのに、涙も見せず、でも言葉にしない思いがあるのは伝わってきましたよ。
出典:These Final Hours (2013) – IMDb
ローズを連れて、親戚の家につくと、父親はすでに自殺した後。ローズを最後まで想い続けていたに違いない。父親のポケットにはローズの写真が入っていました…。
ローズは父親のそばで最後の時を迎えることを決め、ジェームズにも大切な人のそばで過ごしてほしいと送り出され、ジェームズはゾーイの元へ向かう。
どうせ死ぬんだから、人の役に立とうと立つまいともう何も変わらない。って言われたらその通りなんだけど、最後の最後まで「人のために何かをしたい。」という気持ちを持ち続けられることの尊さってあると思うのです。
ジェームズはケチなチンピラだったけど、人生の最後で一人の女の子からこんなにも感謝されたし、本当に大事な人に気付けたのだから、最後の最後で悪くない人生だったって思えたんじゃないかなぁ。
最後の最後でフラれてしまったヴィッキーは気の毒だけど…。
最後の時、自分なら平静を保てるだろうか?考えると本当に自信ない。
苦しんで死ぬのなら、その前に自分でなんとかしたいって考えるかなぁ…。できるなら、ジェームズのママみたいに、できる限り普段通りの生活を送りながら、家族で最後を迎えられたらいいけどね。
思わずヴィッキーが「美しい」とつぶやいてしまうほど、真っ赤な衝撃波の様子はなかなか迫力あって印象深かったです。『ディープ・インパクト』でも海辺で抱き合いながら、最後を迎える人たちがいたなぁ。
あと、愛する人に最後に何かを伝えようとする人々の冒頭の留守電とか、誰も聞いてないかもしれないのに、最後の最後までラジオ放送を流し続ける男の声がBGMのように流れ続けてるのも、印象的でした。
暇つぶし~と思ってなんとなく観始めたけど、まずまず。人類滅亡系の映画って、けっこう好きです。
以上、『ファイナル・アワーズ』の感想でした。
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