『レイチェルの結婚』
基本情報
監督:ジョナサン・デミ
出演:アン・ハサウェイ
製作:2008年/アメリカ
手持ちカメラで撮影された、ホームビデオ風の映像で構成された映画です。
アン・アサウェイは本作で第81回アカデミー主演女優賞にノミネートされました。
監督は『羊たちの沈黙』『フィラデルフィア』のジョナサン・デミ。(2017年4月26日 73歳で死去)
▼『フィラデルフィア』の感想記事です。
『フィラデルフィア』/トム・ハンクス、デンゼル・ワシントン共演のシリアスな法廷ドラマ。
あらすじ
10年も薬物の更生施設に入退院を繰り返しているキム。
姉のレイチェルが結婚することになり、結婚式に参列するために一時的に自宅に戻ることになるが・・。
<スポンサーリンク>感想(ネタバレあり)
家族の秘密。
はれ物に触るようにキム接する家族。
それにいらだつキム。
キムの言動や行動はとにかく危うく不安定で、見ていてハラハラさせられる。
姉の結婚パーティーでの挨拶もひどかった。
みなが自分の過去や現在を知っているのだから、居心地が悪くて、いたたまれなくて自虐の笑いにしようとしている部分もあるのだろう。彼女に悪気はなさそうだ。
しかし微妙な顔をして、反応に困っている出席者たち。
キムが痛々しかった…。
何かこの家族には「秘密」がある。
けれどもあえてそこに誰も触れようともせず、幸せな家族を「演じている」ような、その居心地の悪さ。
なんだろう。
この家族に何があるんだろう?
胸がざわざわとするような嫌な予感を抱かせながらも、作品は進んでゆく。
「家族の秘密」とはなんだったのか。
キムと家族の苦しみは、彼女の薬物依存だけが原因ではなかった。
もっと酷い、取り返しのつかない不幸な出来事が家族に起こってしまっていた。
ドラッグでラリったキムが、車で事故を起こし、弟を死なせてしまったのです。
家族が抱える過酷な現実
ずっと、家族全員がそれぞれの立場で苦しみ続けていた。
キムの苦しみと、家族の苦しみ。
とても愛していて大事に想っているのだけれど、失われたものが大きすぎて許せないという想い。
他人ならば、思う存分に憎むこともできるのに。
愛しい娘であり、妹だから、憎み切ることもできない。
愛していて愛されたいと願っても、それを素直に伝えることは許されない強すぎる罪の意識。
相反する二つの感情に引き裂かれそうなもうとっくに崩壊してしまっていた家族の姿がそこにありました。あまりにも悲しく過酷な家族の現実。
危ういながらもなんとかぎりぎりで踏みとどまっていた家族の想いが一気に噴出して、激しく本音をぶつけあうシーンは見ていて心底つらくなった。
それぞれがあそこまでの複雑な想いを抱きながらも、家族を辞めることはできない。
他人だったら絶縁して終わりなのにね。
家族だからこそ、許すこともできず憎むこともできず、受け入れることも突き放すこともできず。家族って、とってもいいものではあるんだけど、近しい関係だからこそきつい時もありますよね。
なんというか…。
こんな思いをしてまでも人間は生きてゆかねばならないのかと、思いました。
崩壊した家族はもう元に戻ることはない。
それでも、人は生きてゆくしかないんだなと。
レイチェルは人生の伴侶を得て、新しい命を宿した。
両親は離婚して、今はそれぞれ新しいパートナーに恵まれている。
時は流れていく。否応なしに。
キムにも、いつか、幸せを感じることができる日々を送れるようになってほしいな。
予想以上に見ごたえがある作品でした。
以上、『レイチェルの結婚』の感想でした。
デブラ・ウィンガー
キムのお母さんを演じた人、綺麗な人だなぁと思ったら、デブラ・ウィンガーでした。
『愛と青春の旅立ち』『愛と追憶の日々』は名作ですね。
▼シャーリー・マクレーンと親子を演じました。
▼リチャード・ギアの美青年ぶりも必見!
『愛と青春の旅立ち』の主題歌は『ブリジット・ジョーンズ ダメな私の最後のモテ期』で印象的に使われていました。お姫様抱っこは永遠の憧れです!!
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