本日の映画は『ハドソン川の奇跡』
2009年1月15日に本当に起きた奇跡の実話を元に、クリント・イーストウッドが映画化しました。主演はトム・ハンクスです。
この二人のコンビで面白くないわけがない!というわけで公開初日に観てきました。当時のニュースでも大きく報道されたので事故なので、覚えている方も多いかもしれませんね。
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Contents
『ハドソン川の奇跡』
基本情報
監督:クリント・イーストウッド
出演:トム・ハンクス/アーロン・エッカート
製作:2016年/アメリカ
▼原作があります。機長、究極の決断 (静山社文庫)
トム・ハンクスは『フィラデルフィア』『フォレスト・ガンプ/一期一会』で二年連続アカデミー主演男優賞を受賞した経歴を持ちます。
▼『フィラデルフィア』についてはこちら。
『フィラデルフィア』/トム・ハンクス、デンゼル・ワシントン共演のシリアスな法廷ドラマ
ざっとあらすじなど。
出典:http://eiga.com/movie/83990/
ニューヨークのラガーディア空港を離陸したばかりのUSエアウェイズ1549便は、鳥の衝突(バードストライク)により左右両方のエンジンが停止状態に陥ってしまう。
引き返すにも他の空港に緊急着陸するにも高度が足りず、このままでは市街地に墜落してしまうという危機的状況。
その時、機長チェズレイ・サレンバーガーは眼下に見えるハドソン川に不時着水をすることを決断した。
このニュースはよく覚えています。とても寒い時期で、テレビのこちら側にいる私にも凍てつくような水の冷たさが感じられるようでした。
以下、ネタバレしていますので、ご注意ください。
感想(ネタバレあり)
英雄から容疑者へ
出典:http://eiga.com/movie/83990/gallery/2/
機長は国家運輸安全委員会から厳しい追及を受けることに…。
乗客乗員155人全員の命を救った奇跡の生還劇は「ハドソン川の奇跡」と呼ばれ、サレンバーガーは一躍英雄となりました。
しかし、彼を待っていたのは、国家運輸安全委員会の厳しい追及。
調査員たちはあの出来事を「不時着水」ではなく「墜落」と呼び、あくまでもサレンバーガーの人為的ミスによって引き起こされた事故ではないかと、と追及したのです。
もしも、サレンバーガーが責任を問われる事態になれば、会社を辞め、退職金も年金も失うことになります。40年以上、優秀なパイロットであったにも関わらず…。
こういう経緯は全く知らず、映画で観て初めて知りました。
もうね、調査委員は最初からサレンバーガーを容疑者扱い。
冷ややかな視線と嫌味な物言い…。
飲酒、ドラック、家庭の問題、、ねちねちと攻めてきます…。
観ていてとても不愉快でした(≧ヘ≦) ムゥ
調査員たちが言うには、ハドソン川に不時着水しなくても、ラガーディア空港に引き返すか、近くにある別の空港に緊急着陸させることができたのではないか、と。
機体のデータを確認する限りでは片方のエンジンはわずかに動いており、推力を回復することができたはずで、そのデータを元にコンピュータでシミュレーションしたところ、引き返すことも別の空港に着陸することも可能であった、という結論が出たというのです。
あくまでもサレンバーガーの「人為的ミス」にしたい調査委員会。
バードストライクで両方のエンジンが停止することなど前例がない。
→どんなことも初めて起きるまでは前例がない。
なぜ決められた手順を踏んで確認をしなかったのか。
→通常の手順を踏んでいたら墜落していた。
サレンバーガーがが40年以上のパイロットとしての経験に基づく判断で、最も適切な判断を下したのだと主張しても納得しません。
「経験」なんて曖昧なもので判断するなんて…。
言葉にはっきり出さずとも、調査員らの表情がそう語っています。
物語は、こうしたねちねちとした事故調査の経過と、実際に何が起こったかが交互に描かれてゆきます。そして徐々に、あの時何が起きていたかが明らかにされてゆきます。
<スポンサーリンク>乗員たちのプロ意識がすごい。
出典:http://eiga.com/movie/83990/gallery/4/
すごいのはサレンバーガー機長だけじゃないんです。
副操縦士のジェフ、ベテランの客室乗務員たちは緊急事態に動揺することなく、冷静に物事の対処していきます。
観ていて心打たれずにはいられませんでした。いくら適性があって、厳しい訓練を受けた人達だとしても、その姿はただただ「すごい」としか言いようがないのです。
ハドソン川への「不時着水」というものが、とても危険なもので、決して全員助かるような事態ではないことは管制官の様子からも伝わってきました。
必死に他の空港へ誘導しようとし、それでもサレンバーガーが不時着水を決行しようとしたときは、管制官は「これで誰も助からない」と涙を流しました…。
それほど、危険で絶望的なことだったのです。
しかし、それしか助かる方法はなかったのです。
バードストライクから、不時着水までわずが208秒。
たったそれだけの時間しかありませんでした。
ほんのわずかな狂いや迷いが、最悪の事態を引き起こしてしまうかもしれない。そんな緊迫した状況で、機長だけなく、副操縦士、客室乗務員それぞれが、自分のすべき仕事をしっかりとこなしてゆきます。
「頭を下げて、姿勢を低く、身構えて!」
客室乗務員たちも動揺することなく、全員で声を揃え、悲鳴が満ちた機内で何度も声を張り上げる。
鳥肌が立つくらいかっこよく感じたね。
客室乗務員というと、ドラマなどの影響か、華やかな職業というイメージが強いのですが、いざというときは乗客たちを守るためにこんな風に行動するんだなって。しみじみ感動してしまいました。
そして不時着水した後も素晴らしいんです。
サレンバーガーは最後まで機内に残り、残っている者がいないか確認し、コックピットの中から重要な記録を持ち出して、一番最後に脱出。
脱出後も自分のことよりも、155人の命がどうなったのか、そればかりを気にして。
平常時には55しかない脈拍が倍の110にまで上がってしまっている状況で、それでもただひたすら犠牲者が出ていないか、そればかりを気にします。
155人全員が助かった。
ようやくその事実が判明した時の、サレンバーガーの表情…。
こちらまで涙が出そうになりました。
やっぱり奇跡だった。
公聴会ですべてが決着。
むかえた公聴会。
多くの人が見守る場で、シミュレーション機を利用して、実際に飛行士が飛行シミュレーションを行って、あの不時着水が本当に正しい決断だったのかを明らかにしようとします。
調査委員はやはりコンピュータによるシミュレーション結果を絶対視している様子で、何とも冷ややかな面倒くさそうな雰囲気です…。
テスト結果は空港へ引き返すことも、別の空港へ着陸することも可能であったという、調査委員の予想通りもの。勝ち誇ったような調査員たち。やっぱり感じ悪い(≧ヘ≦) ムゥ
しかし、そのシミュレーションには決定的な間違いがありました。
それは「人的要因」が加味されていないこと。
シミュレーションを行ったテスト飛行士たちは、バードストライクが起こったらすぐに空港に引き返す等の行動を起こしますが、実際はそうではありません。故障の状態を確認し、回復が可能かどうか状況を見極めるなど、やるべきことを行ったうえで、判断を下し、行動に移します。
またシミュレーションでは事前に17回も練習をしてテストに臨んでいますが、現実はぶっつけ本番の一発勝負。
シミュレーションの条件は、確かにデータ上は事故機と同じ状態だったかもしれませんが、人的要因という意味ではまるで異なった条件下で実施されていました。
そして、人的条件を加味=バードストライクから35秒の時間を追加して再度テストを行った結果、元の空港へ引き返すことも別の空港に緊急着陸することも不可能だったことがようやく判明します。
出典:http://eiga.com/movie/83990/gallery/5/
わずか35秒の差で、結果が変わってしまうような、ぎりぎりの状況だったんです。
そして同時に機内の録音記録を確認してみると、そこには一切動じることなく冷静なまま、無駄なく適切な対応をしているサレンバーガーとジェフの行動が記録されていました。
さんざん容疑者扱いされてきたサレンバーガーの容疑が晴れた瞬間でした。
そして最後のサレンバーガーの言葉も素晴らしい。ジェフの小ネタもいい感じ^^
見ていたこちらも、本当に「ほら見ろ!」と言いたくなるような、パーフェクトな結末でしたヾ(=^▽^=)ノ
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まとめ
出典:http://eiga.com/movie/83990/gallery/3/
ここまでにも何度も書きましたが、本当に機長、副操縦士、客室乗務員の仕事ぶりには湧き上がる尊敬の念を抑えることができません。
私自身、予想外の出来事があるとすぐにパニックになるタイプなので、あの状況では絶対に冷静でいられる自信はゼロ(笑)
命が危険にさらされている状況で、互いを思いやる親子。隣の女性が抱えている赤ん坊を母親に代わってしっかり抱きしめる乗客。ただ偶然隣り合わせただけの赤の他人が助け合う様子もまた、感動的でした。
不時着水してから、乗客たちが全員救助されるまで、わずか24分。周辺にいた複数のフェリーも救助に協力し、1000人を超える人々が彼らの命を助けようとしたのです。
そういったすべての人々と、そして優秀な機長がいてこその「ハドソン川の奇跡」でした。
エンドロールでサレンバーガー本人と彼に助けられた乗客たちが登場します。
ご本人もとても穏やかで知的な雰囲気。すでにパイロットは引退されたようですが、今でも彼の元には感謝の気持ちを伝える手紙が多数届けられるらしいです。
副操縦士ジェフを演じたアーロン・エッカート。
けっこう好きなのですが、ひげがあんまり似合ってなかったなぁ。それは残念…。
あと、女性たちのサレンバーガーへの敬意の表し方がなかなか大胆。頬にキスしたり、抱きついてハグしたり…。いきなり、それ??と、ちょっとびっくりしました。
プロ意識と長年の経験に裏打ちされた冷静な行動に心打たれる作品でした。
関連作品
▽トム・ハンクス出演作品
▽アーロン・エッカート出演
- 『エンド・オブ・キングダム』/今度はロンドンが戦場と化す!
- 『陰謀のスプレマシー』/美しいブリュッセルの街で、元CIAのエージェントが命をかけて娘を守る。
▼実際に起きた実話をもとにした作品をまとめました。
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