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『100歳の華麗なる冒険』/人生はなるようにしかならない。100歳の元気すぎるおじいちゃん。

本日の映画は『100歳の華麗なる冒険』

先日、おじいちゃんがフルマラソンに挑戦する『陽だまりハウスでマラソンを』という作品を観たのですが、今回の作品もおじいちゃんが主人公。

タイトルから微笑ましいお話を想像していたのですが、そんな予想は完全に外れ。ブラックな笑いが散りばめられたコメディ映画で、驚くほど人がたくさん死にます(笑)

途方もなく破天荒でスリリングな人生を歩んできたおじいちゃんが、100歳になってなお、自らトラブルの中に飛び込んでゆくのですが、本人はそれがトラブルだとは思っておらず、何にも考えずに流れるままに行動しているうちに、いつのまにか周囲を巻き込み、事態はどんどん悪化しているようにも見えて、ぐるっと一回転して万事解決!というお話です。

ブラック苦手な人にはオススメしないけれど、とにかくおじいちゃんがむちゃくちゃすぎて笑えます。

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『100歳の華麗なる冒険』

監督・出演・製作 基本情報

監督:フェリックス・ハーングレン

出演:ロバート・グスタフソン/イヴァル・ヴィクランデル

製作:2013年/スウェーデン

原作はスウェーデン人作家のヨナス・ヨナソンの『窓から逃げた100歳老人』。

世界各国で大ベストセラーになりました。

感想(ネタバレあり)

 

キツネに襲われてしまった愛猫モロトヴの敵討ちのため、自作の罠を仕掛けダイナマイトでキツネを吹き飛ばしてしまったアランは、余生も一緒に吹き飛ばしてしまい、気ままな一人暮らし生活は強制終了。老人ホームへ入所することと相成りました。

 

ええええ?爆破??いきなり?なんで??

 

この冒頭で、想像していたほのぼの映画への期待が裏切られました。

実はこのおじいちゃん、かなりな爆弾マニアだったんです^^;

爆破行為というわりと凶悪な犯罪行為を犯しながらも、全く気にしてない様子のアランが、はたしていったいどのような華麗な冒険をするのでしょう?

以下は完全にネタバレしています。

華麗なる冒険はこうして始まった。

アランが100歳の誕生日を迎えようとしていたある日のこと。

なんとなくそうしたくなって、アランは窓から脱走。施設の人がバースデーケーキ持って来たら、部屋はもぬけの殻。

大騒ぎになるもアランは知る由もなく、なんとなく駅に行って、持っていたお金で行けるところまで行こうとしていたら、腹痛で緊急事態に直面していたギャングのお兄さんが、持ってトイレに入れないからって、スーツケースをアランに預けると、アランは出発時間が来たからそのままバスに乗ってしまい、着いた場所にはなんにもなくて、行き場がなさそうなアランを気の毒に思ったのか、たまたま知り合ったおっさんが家に入れてくれて、ご飯振る舞ってくれて仲良くなるが、実はスーツケースの中には5000万クローナの大金が入っていて、アランはギャングに追われる羽目になり、追ってきたギャングのお兄さんに見つかるも、ぶん殴って撃退して、冷凍庫の中にぶち込んでそのままにしていたら、うっかり電源切るのを忘れていて、マイナス20度にまで温度が低下してギャングは凍死してしまいました…。

という予想もつかない流れのストーリーがぐんぐんと進んでいきます。

ええええ?人殺し??

冒頭の脱走から殺人事件に発展するまで、流れるような展開にまなこが開きっぱなし。なんでそんなことになってしまうの?ちょっと待て、ちょっと待ておじいちゃん。(←ラッスンゴレライ風で)

 

「後悔してもしょうがない。タイムマシンでもない限り、やってしまったことはどうしようもないのだ。」

 

驚く視聴者を置き去りにして冷静過ぎるアランおじいちゃん…。この時点で口があんぐりなのですが、この先どんどんあんぐり度が増していきますからね~!

 

アランとおっさんはお金とギャングの死体を持って逃走開始。良心の呵責、罪悪感、そんなものは一切ないみたい(笑)

その頃、アランがギャングに誘拐されたと思った警察が彼の行方探し始め、消えたお金を巡ってギャングはさらに追手を放ち、アランとおっさんを探し始める。

しかし、アランは全く気が付いておらず、なんとなくなりゆきのままに逃走を続けます。そんなアランのすっとぼけた逃亡劇と、アランの過去が交互に描かれてお話が進行してゆきます。

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アランの波乱万丈な人生。

アランの過去もなかなか、強烈で、この過去があるなら、現在の行動も十分ありえる!と思わせる過去を背負った男なのだ。この日起きた出来事は、アランにとっては日常茶飯事。大したことではないのです。

アランの父は自称革命家。コンドーム(!)の使用を訴え、(勝手に)独立国を建国して、(勝手に)バリケードで領地を囲っていたら警察に捕まって銃殺されてしまったというロックな生きざまを貫いた男。その父の死の知らせを聞いたころ、アラン少年は唐突に「爆破への欲望」に目覚める(笑)

この時アラン、齢はわずか9歳。欲望に目覚めたその後は、爆破、爆破、爆破。あらゆるものを爆破していく。父の形見のマトリョーシカが次々爆破されていくシーンはなかなかシュール(笑)いやはや、たった一人の父の形見ですぜ?少しセンチメンタルになったりはしないのかナ?ならないんだ、アランは。

父の死をものともせずに爆弾の独自研究と研鑽を重ね、アラン少年は爆弾のスペシャリストになってゆく。この爆破の技術は、後のアランの人生に大きな恩恵?をもたらすことに。

そうこうしていたら、母は病死。

「考えたって無駄。なるようにしかならない。人生はそんなもの。」

そんな遺言を残して。この時の母の遺言を、アランは人生をかけて実践してゆくことになるのです。

うっかり爆破に人を巻き込んでしまったアラン少年は、精神病院に収容され、優生学者に去勢手術をされてしまう。退院後、爆破の知識を生かして大砲工場で働いていたら、「戦争なら存分に爆破ができる。」と友人に誘われてスペイン内戦に参加することにして、ひたすら爆破しまくる日々を過ごし、爆破への欲望も一段落した頃、ふとした偶然でフランコ将軍の命を助けることになり、将軍から贈られた銃を撃ったお金で、アメリカに渡り、爆破技術を生かしてなんと「マンハッタン計画」に参加して、アランの助言によりオッペンハイマーは原爆を完成させる、という…才才-!!w(゚o゚*)w

 

え?爆破?え?精神病院?去勢?スペイン内戦?マンハッタン計画???

 

もう驚きの連続。流されるままに、生きていると次々といろんなことに巻き込まれているというか、自分が巻き込んでいるというか。とにかく、20世紀のありとあらゆる重大局面に気が付いたら立ち会っているのですよ、このアランおじいちゃんは。

戦争が終わってもまだまだ続きます。

マンハッタン計画に参加したことに目を付けたソビエトのスパイから接触があり、ソビエトへ連れて行かれ、スターリンと面会。しかし、スターリンを激怒させてしまい強制収容所に送られるも、見事に脱出を図り、その後の東西冷戦時代にはCIAとKGBの二重スパイとして活躍し、なんとベルリンの壁を崩壊にも一役買っています。

フランコ将軍、スターリン、トルーマン、レーガン、ゴルバチョフ等々。20世紀の著名な人物たちも次々に登場します^^

と、まあ、こんなすさまじい人生を歩んできたアランですので、もう死体くらいで驚かないし、ギャングに追われるなんて日常生活の一部みたいなもんだったんですね^^;

「人生はことがことを呼ぶ。」

そう言いながら、次々に呼ばれてくる「こと」を乗り越えてきたアランでした。

現代の世界でもまだまだ、華麗なる冒険が続きます。

仲間も増えて、珍道中はまだまだ続く。

アランたちはたまたまヒッチハイクした青年をも巻き込んで、宿を求めて立ち寄ったゾウと一緒に暮らす女性の湖畔の家に転がり込む。

え?ゾウ??

ペットとして飼うにはかなり大変なものですが、そこにはちゃんと理由があります^^;

ちなみにヒッチハイクした青年も訳あり。進路に悩みに悩んで、大学に通い続け、920単位も取得したのに、まだ進路が決められずにバイトしている悩み多き人。

なんだか、次々におかしな仲間は増えてゆきます^^;

森の中の湖にゾウも一緒に穏やかな時間をすごす一向。そのシーンはなかなかシュール。

その後もギャングは追手を放つものの、幸運が重なりなんだか知らないうちに撃退されてゆきます。うち一人はゾウの尻もちで圧死(笑)人生の最後に見た光景がゾウのおしりなどという最悪な結末を迎えてしまいます^^;

通常、完全犯罪を成し遂げるためには、「死体」という証拠をどう処分するのかが大きな課題となって立ちはだかりますが、アラン一行はそれさえもあっさり解決。さまざまな偶然が重なり、冷凍庫で凍死した男も、ゾウのおしりで圧死した男も、アランたちとは全く関係ない遠い異国の地で発見されることになるので、アランがギャングに誘拐された説、事件に関わっている説はあっさり消滅。警察もアランたちを追うのを止めてしまうのです。

しかし、まだまだ華麗なる冒険が続きます。さらに追ってきたギャングは追跡中に事故を起こして、記憶喪失。そんな時、スパイ時代の友人の息子が100歳の誕生日をお祝いしてくれると言う。どこへ行きたいかとの質問に、先の記憶喪失男が「バリ」というので一行はバリに向かうことに。実はこのバリにはギャングのボスがいたんです。しかしアラン一行は知る由もなく。

一方のボスはネットで話題になっていた行方不明の100歳のおじいちゃんのことを知っていた。そのおじいちゃんが何故かバリにいるところに遭遇し、驚きのあまり自動車事故を起こし、死亡(笑)当然ですが、アランはこのボスのことを知りません…。自分が追われていたことも、その危険が去ったことも。

知らない間に万事解決してしまい、大金をまるっと手に入れた一行はバリ島でバカンスを楽しみました。ゾウも広々とした場所でのびのびと幸せそう^^

ラストシーン。バリの海岸にて。

悩める青年は、ゾウの飼い主の女性に想いを告げるか悩みんでいました。

そんな青年の背中を押す、アランの言葉。

「君は恵まれている。2人の間に芽生えたものはめったにないことだ。行って伝えなさい。こんな幸運はめったに恵まれない」

悩みに悩んで、20年も大学に通い続けるほど、迷いの多い青年が何かをはっきりと決意した瞬間でした。

人生はどこでどうなるか。明日は違う風が吹く。

きっとアランはその言葉通り、明日もまた何かをしでかすに違いありません。

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まとめ

人があまりにもあっさりと死んでしまったり、爆破マニアのくだりはかなりブラックなので、苦手な人はいそうな気がします。特に原爆のくだりは、あれをギャグにしてしまうのか…と驚きも。日本では絶対にありえないですもんね。

ただアランの言葉にあるように「ことがことを呼ぶ」展開は、非常によく出来ていて、ぐるりと回って迎えたラストの大団円の爽快感は中々のもの。何が起きても決して動じることのないアランのひょうひょうとした佇まいも独特の存在感がありました。

「北欧版フォレスト・ガンプ」と言われているのだとか。あーなるほど、一人の男の奇想天外な人生を、歴史上の偉人と絡めながら描いてゆくのは似ているかもしれませんね。まあ、かなりブラックでシュールではありますが(笑)

以上、『100歳の華麗なる冒険』の感想でした。

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