シャーロット・ランプリング主演の『愛の嵐』といえば、とても有名なシーンがあります。
↓それがこちら。
上半身にサスペンダーしか身に付けていない、裸のヒロイン(シャーロット・ランプリング)。本作の代表的なシーンのひとつです。
なかなかインパクトが強いシーンなので、どこかで見かけたことがあり、作品名も何も知らないまま、イメージが焼き付いていました。
この女性がシャーロット・ランプリングだったことを最近まで全く知りませんでした。
本作は1970年代の作品。時代は2010年代ですが、ランプリングはいまも現役の女優として存在感を示し続けています。
参考:【年代別おすすめ映画】1970年代の傑作・名作映画まとめ。
Contents
『愛の嵐』
『愛の嵐』の基本情報
監督:リリアナ・カバーニ
出演:ダーク・ボガート/シャーロット・ランプリング
製作:1973年/イタリア
『愛の嵐』のあらすじ
1957年のウィーン。
とあるホテルで夜番のフロント兼ポーターとして働くマックスは、実は元SS。素性がばれぬように、ひっそりと息をひそめるように生活していた。
そのホテルにある日、著名な指揮者とその妻が訪れる。見覚えのあるその女性は、かつてユダヤ人収容所でマックスが弄んだ美しい少女ルチアだった。
以下はネタバレしつつ、感じたことをつらつらと書いてゆきます。
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感想(ネタバレあり)
官能的で綺麗な作品、シャローット・ランプリングが美しい!
ユダヤ人収容所で美しい少女ルチアが弄ばれる…。
相当な覚悟をして観たのですが、事前に想像していたようなえげつない描写はなく、むしろ綺麗な映画だった。若い頃のシャーロット・ランプリングは本当に美しかったのです。
シャーロットは素敵な年齢の重ね方をしていて、現在も一線で活躍してます。単なる母親役やおばあちゃん役に留まらない幅広い作品に出演しているのが本当にすごいと思う!。
ルチアとマックス、二人のいびつな関係。これは愛?それとも…
ルチアとマックスの関係はいびつです。
正直なところ…
「なぜそうなってしまうの?」
という疑問は感じました。思っていた話と違っていた、というか。
ルチアは過去のトラウマに苦しみ、マックスに怯えているのかと思っていたのだが、そうじゃなかったのね。
夫は一足先に次の目的地に向けて出発し、ルチアが一人でホテルに残される。
そこにマックスが「職権乱用」して勝手に部屋に入ってくる。
最初は抵抗をするルチアだったけれども、やがて二人は強く抱き合い、ルチアの口からは叫ぶような笑い声が響き渡る。まるで狂人のような…。そして夫のこともほったらかしにして、マックスの住む部屋に行ってしまう。
ルチアはマックスに怯えていたのではなくて、かつて彼によって教えられた肉欲に再び溺れてしまうことが怖かったのだろうか?
ハマってしまったら、きっともう”そこ”から抜け出すことができないから。
過去を断ち切り、結婚をし、まっとうな世界に生きている現在の生活を、永遠に失ってしまうことになる。ルチアはそれに怯えつつも、一方で求めていたのかもしれない。
「正常とか、異常とか誰が決める?(マックスのセリフより)」
二人の関係は異常と言えば異常なのだろうけれど。
そもそも、最初の出会いからもう普通じゃないわけで。
たとえば、誘拐された人質が犯人に親近感を抱いてしまうことがあるように。
暴力を振るわれている被害者が、加害者から離れることができないことがあるように。
周囲では次々に人が死んでゆき、自分自身もいつどうなるかわからない状況の中で。その美しさゆえにマックスのターゲットになった少女は、マックスに逆らう術など持たなかっただろう。
「マックスに気に入られているうちは、生きていられる。」
ただ、されるがままにするしかない日々の中で、性の悦びなどまるで知らなかった少女は、生まれて初めての快楽をマックスからもたらされたに違いない。
ルチアが”嫌いな囚人”を、ルチアのために殺してくれる男。
その首を”プレゼント”してくれる異常な男。
目に入った”それ(=首)”を驚いたようにしばらく見たあと、ルチアの口元には薄く笑みが浮かんだようにも見えた。ルチアもきっと”一線”を越えてしまったんだ。
いつ殺されるかもわからない張り詰めた状況でルチアをもてあそぶ一方、同時に庇護者でもあったマックスを求める気持ちがルチアに生まれることは、ありうることかもしれない。
引用:Ai no arashi (1974) – Photo Gallery – IMDb
当初は圧倒的な優位な力関係の中で、マックスがルチアを支配するように見えましたが、やがて二人の力関係が逆転しているように見える場面もありました。「挑みかかるような眼差し」で、ルチアが自らマックスを求めるシーンが印象的でした。
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直接的な描写は少ないが、作品を覆うのは官能的な雰囲気
激しい性描写が描かれるわけではないのですが、なんとも「エロさ」を感じさせるシーンが満載でした。
有名な上半身裸&サスペンダーはもちろんのこと。
- 手を縛られたルチアの口にマックスが指を入れる。
- 真っ赤なジャムを手づかみでむさぼり食べる。
- 落ちていた下着をマックスがルチアに履かせる(←履いてなかったらしい。)等々…。
「イアリングを外して床に放り投げる」という、ただそれだけのシーンも「エロさ」が感じられた。
引用:Ai no arashi (1974) – Photo Gallery – IMDb
元SSの仲間たちに、彼らが犯した戦争犯罪の証人であるルチアを差し出すように命じられたマックスは、それを断り、ルチアと二人で部屋に籠城することになる。
兵糧攻めに合い、食べ物を手に入れられなくなった二人は徐々に衰弱してゆく。ルチアを差し出せば、それで済む話なのに、マックスはルチアを選んだ。自分の命よりも、ルチアとともにいることが大事だったのですよね。
夜明けの橋の上で二人が迎えるラストシーンが、幻想的でとても美しかった。
『愛の嵐』の感想まとめ
シャーロット・ランプリングの美しさが際立ってました。ある程度年齢を重ねてからの作品しか観ていなかったので、若い頃の美貌を観ることができてよかった!
シャーロットは現在も女優として一線で活躍しており、2015年の『さざさみ』では69歳でアカデミー主演女優賞にノミネートされました。(この時受賞したのは『ルーム』のブリー・ラーソン)
ランプリング好きの方にはぜひオススメの作品です^^
以上、『愛の嵐』の感想でした。
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