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『ラブ・アゲイン』/中年夫婦は離婚の危機を乗り越えられるか?

今日の映画は『ラブ・アゲイン』

ざっとあらすじと見た感じと、タイトルのイメージでアンテナには引っかかってこなかった作品でしたがライアン・ゴズリング目当てで見ました。

それにしてもタイトルに日本語で「ラブ」って入っていると観る気を失うのはなぜでしょう?(笑)チープな感じになってしまいますよね。私もありがちなラブコメだろうと、本作はずっと興味を持てずにいました。

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『ラブ・アゲイン』

基本情報

監督:グレン・フィカーラ/ジョン・レクア

出演:スティーブ・カレル/ライアン・ゴズリング/ジュリアン・ムーア/エマ・ストーン

製作:2011年/アメリカ

上記に名前を記載した主な出演者4名の全員がアカデミー賞にノミネートまたは受賞経験を持つ、という豪華さ!

▼ライアン・ゴズリングとエマ・ストーンが共演した2017年度アカデミー賞最多ノミネート(エマ・ストーンがオスカーを獲得)
『ラ・ラ・ランド』が捧げた過去の名作へのオマージュたち。

▼ジュリアン・ムーアとスティーブ・カレルも他の作品で共演しています。
『ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気』/愛する人のために何ができるか?

▼ジュリアン・ムーアのオスカー獲得作品
『アリスのままで』/愛について。

あらすじ

40代の生真面目な男カルは、妻エミリーが浮気をし離婚を切り出される。高校時代からつきあっていたエミリー以外の女性とデートもしたことがないカルだったが、ある夜、バーでプレイボーイのジェイコブと知り合い、ジェイコブの助言でファッションや髪型を磨いて新しい人生を歩もうとする。ラブ・アゲイン : 作品情報 – 映画.com

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感想(ネタバレあり)

私が知るライアン・ゴズリングは『ドライヴ』や『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ』など、アブない雰囲気を漂わせて無口でほとんど表情も変えない役どころの印象が強い。『ブルーバレンタイン』ではちょっと残念な夫の役たったし…。さほど気になる存在ではなかったのです。

しかし『ラ・ラ・ランド』で歌って踊るライアン・ゴズリングを観てイメージが変わり、ラブコメのライアン・ゴズリングも観てみたくなったのです。

この『ラブ・アゲイン』邦題がチープなのが残念なのですが、それはさて置き、結論としてかなり好きな作品で、たくさん笑いましたよ(*^-^)ニコ
かと思えば、ジーンと胸に迫るシーンがあったり、クライマックスではわりと本気で泣きました^^

中年の恋、若者世代の恋、少年少女の恋。
年齢が異なる男女のそれぞれの恋が展開し、別々のエピソードだと思っていたら意外な結びつきを見せてあっと驚かせ、笑いと泣きに彩られたハッピーエンドを迎えます。

大枠のストーリーはベタでありがちなものですが、そこを支えるエピソードやセリフが繊細かつ粋。ほほうと感心させられることしばしば。ちょいちょい挟まれる映画ネタも嬉しいところ。単なる甘い恋を描いたラブコメとは一味違う大人ためのラブコメでした。脚本が本当によく出来ていたと思います。

下ネタも若干ありますが、くすくす笑いをもたらす程度で下ネタ苦手な人も大丈夫だと思います(*’-‘)b OK!

以下はネタバレしつつ、思ったことをつらつらと。

結婚25年目に迎えた離婚の危機

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まず、冒頭のレストランでのシーンが好き。

いくつものテーブルの下で親密そうに足をツンツンするカップルたちの描写が続いたかと思えば、全く動きのない静まり返った男女の足元が映る。しかも男はくたびれたスニーカー。

おや、と思うと映し出されるのは考え込む中年男女のカップル。結婚25周年を迎えたキャルとエミリー。

二人は考え込んだ表情を見せているが、考えているのは全然別のこと。キャルはこれから食べるデザートについて、エミリーは離婚について。夫婦の”すれ違い”はこんなところにも表れるのだ。

同僚のデヴィットと浮気したことを告げるエミリー、ショックを受けたキャルは車から飛び降りてしまう。

「離婚に同意するから。その話はしないでくれ。」

自ら離婚を申し出たのに、あっさり同意されると傷ついた表情を見せるエミリー。浮気はどうかと思いますがが、エミリーは”話し合い”のきっかけを欲していたのです。

キャルが家を出ていく日も未練を見せるのはエミリーの方で、「中年の危機」について話し始めたエミリーの言葉を遮り、キャルは一切の話し合いを拒否する姿勢を変えない。

『男らしさを取り戻す手伝いをしよう』

 

家族と暮らした家を出て一人になったキャルは毎夜バーで一人で酒を飲み、鬱々と過ごしていた。そこにナンパ師ジェイコブが登場。

キャルを観ていると「ある人を思い出す」から「男らしさを取り戻す手伝いをしよう。」というのだ。

この日からキャルはナンパ師の手ほどきを受けて”男らしさ”と取り戻していく。まずは外見から。ジェイコブの指導によりダサかったキャルは紳士然とした外見に変わっていく。

そしてナンパ指南。見事ナンパを成功させたキャルは徐々に男性としての自信を身に付けていく。このあたりのスピード感あるテンポの良い展開も見事だった。

あ、うまく行くかな?夫婦がいい雰囲気になりかけたら必ず邪魔が入る。しかもかなりキョーレツな。まさかナンパのお相手が息子の担任とは…苦笑

浮気をして離婚を申し出たのはエミリーだけれど、おそらく彼女は今までも”話し合い”の機会を持とうとしてきたのではないかな、と思う。

「努力をおろそかにしていた。」というのはキャルの反省の言葉だけれど、キャルはエミリーは空気のようで”いなくなる”ものだということは考えたこともなく、”安定”を当たりとし、エミリーの出す信号に気付かなかったのだろうなぁと。

ほんのちょっとした優しさ、気遣いの言葉、空気ではなく一人の女性として接すること…。エミリーが求めていたものはきっとそんなこと。

キャルは「君に怒っている。自分にも怒っている。なぜあの時戦わずに車を降りたのか。」と言う。そう、きっとエミリーは喧嘩になってでも二人の関係を見つめ直したかったのだ。

 それぞれの恋

キャルとエミリーだけではなく、本作ではいくつかの恋が同時進行して描かれます。この描かれ方がまた絶妙。

世代が違う男女の恋ではあるが、”魂の伴侶=ソウルメイト”はきっといるんだ、って思わせてくれる。あぁ、恋っていいなってしみじみと思った。

恥ずかしくて愚かでみっともなくても、人を好きになることは素敵なこと。
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http://eiga.com/movie/56027/

キャルとエミリーの息子ロビーはベビシッターのジェシカに恋をし、ジェシカはキャルに恋をする。一方通行の片思い。若さゆえに突っ走る二人の行動は微笑ましくも感じる。

ベビーシッターとして夫婦に関わってきたジェシカが「子供たちがパパを待つのは珍しい。」とエミリーに言うところも好きだな。

ダサイ中年おやじのキャルのどこを好きになったのかと不思議だったのですが(←おっと失礼)…、ちゃんとジェシカはキャルのいいところを見ている”本気の恋”だったんだなってわかる。
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そして弁護士志望のナナ。ジェイコブのナンパを歯牙にもかけない真面目な女性だったが、紆余曲折がありナナはジェイコブに恋をして、ジェイコブはナナに恋をする。

あれだけナンパで美女のお持ち帰りを繰り返すものの、”本当の恋”を知らなかったナンパ師ジェイコブが迎えた年貢の納め時。とうとう本当の恋に出会ってしまう。

つい話に夢中になってナナとの会話だけで満足してしまって、お持ち帰りしたのに何もせずに寝てしまうという可愛らしさもいい!このギャップで私はライアン・ゴズリングが好きになったといっても過言ではないです(笑)

しかもこのナナが実はキャルとエミリーの娘だったという予想もつかない展開を見せるのだからすごい(笑)

ひょんなことからエミリーの真意に気付いたキャルはエミリーのためにサプライズパーティーを企画しプレゼントを用意し、いざ復縁!と思いきや、愛娘が連れてきた男がジェイコブ。鉢合わせする二人。

何が起こったかわからない、どうしてここにいるのかと呆然とするキャルとジェイコブと同じくらいに観客たちも呆然とするはず。私はしましたよ。そして大笑い(笑)バラバラに進んでいたエピソードが見事に融合した瞬間でした。

そこに浮気相手のデヴィットとジェシカの父が乱入して大乱闘。愛娘の”あの写真”を観てしまったら父として殴りかかりたくなるジェシカ父の気持ちはわかる(笑)

▼しょんぼりしたおっさんたち。
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散々笑った後のクライマックスの卒業式でのスピーチ。胸にジーンと迫るものがあり、わりと本気で泣きましたよ。スピーチよりもロビーとジェシカのやりとりがまたよかった。

「パパが好きなら数年後にパパに似てからアタックするよ。」

ロビーの幼い恋ではありますが、キャルとジェイコブも出会いは15歳だったのです。そして17歳でナナを授かった。

たとて始まりは幼い恋であっても、それが一生の恋になることもあるのだよ。ロビーの真剣な想いが少し心に響いたらしいのジェシカの笑顔も素敵でした。

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その他、気になったこと。

 映画ネタ。

『トライライト』『ベストキッド』『ダーティダンシング』懐かしい映画が会話の中でちらちらと。映画好きには嬉しい。特に『ダーティダンシング』のリフトシーンは笑いました。

『ダーティ・ダンシング』は今は亡き、パトリック・スウェイジが出演しています…。

ライアン・ゴズリンズの肉体美

ライアン・ゴズリングがその肉体美を惜しみなく披露(笑)
サウナでの丸出し、エミリーに見せた割れた腹筋。それを見たエミリーの「フォショップで加工しているみたい。」という何気ないセリフもいちいちセンスがいい。

ケビン・ベーコン

エミリーの浮気相手で本気になってしまったデヴィット、その反面一時の気の迷いにすぎないエミリー。ここでも一方的な恋が。怖い役を演じている印象が強いケビン・ベーコンなのですが、エミリーの気を引こうと一生懸命で、にこにこ笑っている表情が印象的でした。 登場シーンは少ないけれど、おいしい役どころ。

▼ケヴィン・ベーコンの上半身裸のサービスショットあり(笑)

『アポロ13』果たして彼らは地球に戻れるのか?宇宙に取り残された宇宙飛行士たちと彼らを救おうとする人々の実話を元にした熱い物語。

電話のシーン。

家族の様子が気になって元の家に忍び込んだキャルが自分にうその電話をかけるエミリーの顔を見てしまうシーン。

これは本当にいいシーンだった。嘘をついても声が聴きたい。キャルと電話で話す時のエミリーの嬉しそうで幸せそうなエミリーの表情がべらぼうによかった!

以上、『ラブ・アゲイン』の感想でした。

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