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【ネタバレ】『隣の家の少女』/加速してゆく悪意に、容赦なく打ちのめされる。実話を元にした作品

きつい、本当にきつい…(ノ_-。)

吐き気を催さずにはいられない。

人間の醜悪さを存分に見せつけられ、とても不快な重いものが胸の奥に飲み込めないまま、居座っている。そんな感じ。

こういう気分になるのはわかってたのです。それでも観たのは私です、はい。

アメリカの映画サイトが選んだ『心がつぶれそうになる映画20本』というランキングに取り上げられていて、気になって観てみたのです。

参考:アメリカの映画サイト「Taste of Cinema」が選んだ心がつぶれそうになる映画20本~観るのに覚悟が必要です~

事前にあらすじを頭に入れ、覚悟して鑑賞に臨んだものの、終始、不愉快極まりない展開が続き、胸クソが悪すぎて、怒りが込み上げてきました(#`皿´) ムキーーーー!

怖い映画は好きなのですが、痛い描写は苦手。作品の1つの要素として痛い描写が入るのはいいのですが、『隣の家の少女』はそれ(=虐待)がメインになっている。

人が人を虐待するシーンは本当にきつい。同じ人間でありながら、どうしてそこまで鬼畜になれるのか…と暗澹とした気持ちになります。

この作品は何の罪もない少女を集団で虐待するさまを描いた映画ですので、鑑賞の際は覚悟が必要です。

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隣の家の少女

監督・出演・製作 基本情報

監督:グレゴリー・M・ウィルソン
出演:ブライス・オーファース/ダニエル・マンシェ/ブランチ・ベイカー
製作:2007年/アメリカ

 ざっとあらすじ。

両親を事故で亡くし、おばのルースの元へ引き取られたメグとスーザンの姉妹。

事故は姉妹の心と体に深い傷を負わせた。メグの体の傷はまだ癒えておらず、妹のスーザンは障害が残って松葉づえが手放せない体になってしまった。しかし、スーザンは傷ついたそぶりも見せず、妹の面倒をよくみて明るく振る舞うのだった。

ルースの家の隣に住んでいるデイヴィッドは、明るく快活なメグに淡い恋心を抱くようになる。

しかし、二人の楽しい時間は長くは続かない。メグはルースからきつい扱いを受けており、それは次第に虐待へとエスカレートしてゆく…。ルースの息子たちや近所の少年少女をも巻き込んで…。

強烈な悪意がメグに襲い掛かり、やがて悲劇が訪れる。

実話を元にしたお話です。

1960年代のアメリカ、インディアナ州で起きた、シルヴィア・ライケンス事件を元にしたフィクションで、原作小説があります。

著者はジャック・ケッチャム。胸クソの悪すぎる小説を数多く発表しているアメリカの人気作家です。

シルヴィア・ライケンス事件の概要はWikipediaで確認できますが( ガートルード・バニシェフスキー – Wikipedia)、非常に凄惨な事件です。

本作品の大まかな部分は実際に起きた出来事と同じですが、事故で両親を亡くしたという設定やデイヴィットの存在はフィクションです。

シルヴィア・ライケンス事件をモチーフにした映画がもうひとつあります。

タイトルは『アメリカン・クライム』。『隣の家の少女』より実際の事件を忠実に再現しています。

主演はエレン・ペイジ。『ジュノ』『ハンズ・オブ・ラヴ』『インセプション』シリーズなどに出演している人気実力派女優です。

『隣の家の少女』のメグに当たる役を演じています。今ほどエレン・ペイジが有名でない頃の作品です。

▼エレン・ペイジの絶叫に胸を切り裂かれます。あわせてオススメ。

ネタバレ:『アメリカン・クライム』/その時、少女に何が起こったのか?実話を元にした物語。強烈な悪意と残酷さに放心状態になります。

以下、ほぼネタバレしていますので、未鑑賞の方はご注意ください。

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感想(ネタバレあり)

エスカレートしてゆく悪意。

メグは両親の突然の死で傷ついているはずなのに、明るく振る舞っている、とってもいい子なんです。妹想いで優しい。

しかし、そのおばのルースはとにかくメグと妹スーザンが気に入らない。

何事に関しても悪いのは姉妹だと一方的に決めつけ、些細なことで逆上し、体罰を加え、メグを「汚れた娼婦。」と罵る。

どうも、夫(死別or離別?)に強い不満と怒りを感じている様子で、その恨みを美しい少女であるメグにぶつけているらしい。女の嫉妬と歪んだ憎悪が見え隠れしているように思えます。

メグへの虐待は徐々に、エスカレートし、ついには地下室に監禁して、拷問を繰り返すようになっていく。

手を縛りつけて、吊し上げ、猿ぐつわを噛ませた状態で、全裸にして、たばこの火を押し付けて…。

来る日も来る日も虐待が繰り返される。言葉では書けない、目を覆いたくなるような様々なことが、メグに対して行われます。

ルースだけではありません。ルースの息子たちまでも、当然のように虐待に加担する。

▼ルースの息子たちと近所の子供たち。

f:id:sakuraho:20170222170118j:plain

引用:http://www.imdb.com/title/tt0830558/mediaviewer/rm1849921536

息子たちはルースに「メグは汚れた女」と言い聞かされており、洗脳状態にある彼らはメグに何をしても許されると思っている様子。

ろくでもない女に育てられた子供たちは、ろくなものにならなかったらしい。

幼い末っ子までもが可愛らしさのかけらもない、憎らしいクソガキで。全く良心の呵責を感じていない。救いようもなく頭が悪く、悪いのはすべてメグ。

やがて息子たちだけでなく近所の子供たち、しかも女の子までもが、メグへの虐待に加担するようになる。子供とはいえ、やっていることは紛れもない犯罪行為なので不快感だけが増していきます。

関連:子どもが怖い映画。大人を恐怖に陥れる怖い子供が登場するおすすめ映画。

子供たちを先導するルースの姿は、まるで君臨するカルトの教祖のよう。とにかくイライラさせられる。

どれだけ偉いつもりなのか知らないが、常に上から目線で傲慢で、正しいのは自分だけ。悪いのはすべて自分以外。常識的な価値観をはるかに逸脱したモンスター

大変な地獄耳で、階段のきしむ音まで聞き逃さない。(あの、かすかな音でも聞き逃さない、目がギロギロしているシーン、めちゃハラハラした。)

「しつけ」と称しながらも、やってることはただの犯罪行為。

終盤で「逃げ出そうとした罰」としてメグに加える暴行の数々は、鬼畜としか表現しようがない残虐なもの。

普通の人間の感性ならそもそも発想すら浮かばないであろう行為です。

体に焼きごてをして、バーナーで…を焼く、とてもじゃないが考えつきもしません…。・゚(゚`Д)゙

淡い初恋の結末は…。

主人公のデイヴィッドとメグは、お互いほのかな恋愛感情を抱いており、メグにとってはささやかな希望みたいな存在になっている。

ルースのような怪物のごとき女がいなければ、淡い初恋の思い出となったことでしょう。冒頭の二人の出会いのシーンはみずみずしい青春の一コマ、微笑ましい気持ちさえ抱かせます。

なし崩し的にデイヴィットまでもが虐待行為に加担するのではないかと、びくびくしていましたが、それはなかったことだけが唯一の救い。

しかし、スーザンは仕方ないとはいえ、デイヴィットの立場なら親に話すくらいのことはできそうなものなのだが。

デヴィットはただ、ただ傍観するのみ。

最後で底力を発揮するくらいなら、もう少し早くなんとかしてほしかった(/TДT)/

まだ子供だし、異様な雰囲気に飲まれてしまって怖くてできなかったんだろうか。「警察なんて関係ない。」と、ルースに釘差され脅されてたのでできなかったのかなぁ。。

デイヴィットは大人になってもメグを救えなかったことに苦悩しているのですが、ママに言うくらいはできたんじゃないの。ママが寝てるならたたき起こせばよかったじゃないのようヽ(TдT)ノアーウ…

そこは本当に残念だけど、舞台は1950年代の田舎の小さな町。

今の価値観をそのまま持ち込むのは難しいのかもしれない。彼の無邪気だった少年時代はあの事件で終わってしまった。この先は一生苦悩して生きてゆくしない。

最後で明らかにされる、なぜメグが逃げられなかったか、そもそも虐待の始まった原因はなんだったのか。その理由に胸が詰まる思いでした。

メグは本当に心優しく妹想いで、殺される理由などなかったのです。

以上、『隣の家の少女』の感想でした。

▼原作は「読むレイプ」と言われている、ジャック・ケッチャムの同名小説。

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